春風献上。
次は『桜ほうさら(上・下)』・・・と予告しておきながら(良い作品だった)。
長く続けてきた当ブログだが、一区切りつけることに決めた。
最近はめっきり手抜き記事だったが、真剣に書評(というレベルでもないが)するのは、なかなか手間である。そのエネルギーが今はもうない(笑)。
大事なのは、自分にとって面白いか、面白くないか。その理由を説明する必要も特にない。読書とは個人的な営みだから。
と、取って付けたようなことを言ってみたが、つまりは飽きた(笑)。
読書そのものには、もちろん飽きない。
気が向けば再開するかもしれないので、ブログは削除せずに残しておく。
それでは、楽しい読書を!
2016年01月07日
2015年12月30日
残り全部バケーション
・内容(「BOOK」データベースより)
当たり屋、強請りはお手のもの。あくどい仕事で生計を立てる岡田と溝口。ある日、岡田が先輩の溝口に足を洗いたいと打ち明けたところ、条件として“適当な携帯番号の相手と友達になること”を提示される。デタラメな番号で繋がった相手は離婚寸前の男。かくして岡田は解散間際の一家と共にドライブをすることに − 。その出会いは偶然か、必然か。裏切りと友情で結ばれる裏稼業コンビの物語。
第1章の『残り全部バケーション』。
ここに登場する家族と岡田青年。彼らの運命が意外な形で展開し、意外な結末を迎える・・・第1章を読んで、そんなストーリーを想像していたので、肩透かしをくらったような感じである。
それでも読ませる。
さすがだが、今まで読んだ伊坂作品でいちばん面白くなかった。
〔評価〕★★☆☆☆
次は『桜ほうさら(上・下)』(宮部みゆき・著/PHP文芸文庫)。
2015年12月28日
本能寺遊戯
・内容(「BOOK」データベースより)
扇ヶ谷姫之、朝比奈亜沙日、そして交換留学生アナスタシア・ベズグラヤ(通称:ナスチャ)は日本史好きの高校生。事あるごとに日本史談義を続け、ついには歴史雑誌『ジパング・ナビ!』の新説公募企画にそれぞれが投稿、入選と賞金を狙う。本能寺の変の真相、ヤマトタケルと剣の謎、大奥の秘密など、女子高生“歴女”3人組の魅力的な新解釈を、気鋭の著者が連作ミステリで贈る。
いくら女子高生3人組が主人公だからって、この表紙はないよな〜。購入するオッサンの身になってほしいよ(笑)。
歴史の謎の真相を探るミステリ。主要客はオッサンでしょ〜?
歴女の皆さんも買うのかな?
著者の歴史の謎に関するスタンスは、あとがきで表明されていて、いわゆる陰謀史観や史実の都合の良いところだけをつまみ食いした“歴史への真相”に対しては、誠に辛辣である。
しかしながら、ここで開陳される本能寺の変などの意外な真相(?)は、楽しい。
難点は、似通った人物名が頻発することと、家系など人間関係が複雑でややしいこと。こればっかりは現実(史実)がそうだったんだから、仕方がない言えば仕方がない(笑)。
作品内で言及されているが、歴史ドラマで登場人物を減らして分かりやすく改変するのも、むべなるかな。
〔評価〕★★★☆☆
次は『残り全部バケーション』(伊坂幸太郎・著/集英社文庫)。
ラベル:残り全部バケーション 伊坂幸太郎
2015年12月21日
教場
・内容(「BOOK」データベースより)
希望に燃え、警察学校初任科第98期短期課程に入校した生徒たち。彼らを待ち受けていたのは、冷厳な白髪教官・風間公親だった。半年にわたり続く過酷な訓練と授業、厳格な規律、外出不可という環境のなかで、わずかなミスもすべて見抜いてしまう風間に睨まれれば最後、即日退校という結果が待っている。必要な人材を育てる前に、不要な人材をはじきだすための篩。それが、警察学校だ。週刊文春「2013年ミステリーベスト10」国内部門第1位に輝き、本屋大賞にもノミネートされた“既視感ゼロ”の警察小説、待望の文庫化!
警察官を目指す人間が集まる警察学校には、こんな陰湿な人間関係や事件が本当にあるのか?
本書はあえてそういうところにフォーカスしているのであって、物語の周囲には健全な教官や学生もいることだろう。
ここで描かれていることが、警察学校の全てだと感じる必要はない。
一方で閉ざされた集団生活の中では、こういったことが起こっても不思議ではないと思う。
警察官も元をただせば、ただの人間なのだから。
教官・風間を、いわばハードボイルドな探偵役に据えたミステリとして、面白かった。
〔評価〕★★★★☆
次は、『本能寺遊戯』(高井忍・著/創元推理文庫)。
2015年12月13日
なごり歌
・内容(「BOOK」データベースより)
昭和48年、小学校3年生の裕樹は県境に建つ虹ヶ本団地に越してきた。一人ぼっちの夏休みを持て余していたが、同じ歳のケンジと仲良くなる「遠くの友だち」。あなたの奥さまは私の妻なんです−。お見合い9回の末やっと結婚にこぎつけた仁志が突然現れた男にそう告げられる「秋に来た男」。あのころ、巨大団地は未来と希望の象徴だった。切なさと懐かしさが止まらない、連作短編集。
昭和40年代。団地。
まさに、自分世代のどストライクの舞台設定。でも、僕が中学生の頃には、もう団地よりも一戸建ての方が“夢”の象徴だったなぁ。
巨大な団地を舞台にした連作短篇。
どの話も少しずつ不思議で物哀しい、ノスタルジックな世界。
ひょっとして、川辺さんはこの世の人ではないんじゃないか・・・と思ってたら・・・連作短篇の最後は、意外な展開。
最後にこんな重い話は・・・と思っていたが、読後感はさすが。
〔評価〕★★★★☆
次は、『教場』(長岡弘樹・著/小学館文庫)
2015年12月07日
ノックス・マシン
・内容(「BOOK」データベースより)
2058年4月、上海大学で20世紀の探偵小説を研究していたユアン・チンルウは、国家科学技術局から呼び出される。博士論文のテーマ「ノックスの十戒」第5項が、史上初の双方向タイムトラベル成功に重要な役割を担う可能性があるというのだ。その理由を探るべく、実験に参加させられた彼が見たものとは―。表題作「ノックス・マシン」、名探偵の相棒たちが暗躍する「引き立て役倶楽部の陰謀」などを含む中篇集。
えせミステリー・マニアなので、ノックスの十戒もヴァン・ダインの二十則も、この作品を読むまでちゃんと知らなかった。
ミステリ勃興期へのオマージュと薀蓄に溢れたSF作品。法月綸太郎といえば、ミステリ作家。でも、こんなSFも書けるんだな。さすが京大卒。
SFパートは難しくて理解できないところもあるけど、こんな小説を書く発想が素晴らしいし、アガサ・クリスティやエラリー・クイーン等々、古典(黄金期)ミステリを激しく読みたくなること、請け合い。
でも、多分、読まないけど(笑)。
〔評価〕★★★☆☆
次は、『なごり歌』(朱川湊人・著/新潮文庫)。
2015年11月30日
密室蒐集家
・内容(「BOOK」データベースより)
鍵のかかった教室から消え失せた射殺犯、警察監視下の家で発見された男女の死体、誰もいない部屋から落下する女。名探偵・密室蒐集家の鮮やかな論理が密室の扉を開く。これぞ本格ミステリの醍醐味!物理トリック、心理トリック、二度読み必至の大技・・・あの手この手で読者をだます本格ミステリ大賞受賞作。
様々な密室トリックと鮮やかな論理による推理劇5編。
探偵役は、30代と思しき、端正な男性。密室殺人のあるところ、ふっと現れ、警察および事件関係者の説明と証言だけで真相を明らかにし、ふっと消え去る。警察内でも伝説となっている男。
事件の舞台は、1937年、1953年、1965年、1985年、2001年。
なのに、密室蒐集家は、いつも30代。
そのありえないファンタジックな設定により、むしろ推理小説として純化されており、ひたすらに謎とその解明だけを楽しむことができる。
この作品に人物描写など物語の厚みを求めてはならない。
〔評価〕★★★☆☆
次は『ノックス・マシン』(法月綸太郎・著/角川文庫)。
2015年11月22日
弓張ノ月/失意ノ方/白鶴ノ紅/意次ノ妄 居眠り磐音江戸双紙46〜49
・弓張ノ月 内容(「BOOK」データベースより)
天明四年(1784)弥生24日未明、麹町の佐野善左衛門邸を見張る霧子は、屋敷内の不穏な気配に胸騒ぎを覚えていた。意を決し邸内に潜入した霧子は、佐野善左衛門が松平定信に借り受けた刀を携え登城することを耳にする。小梅村に舞い戻った霧子から報告を受けた坂崎磐音は、急遽、奏者番速水左近への書状を認め、霧子に託すが・・・。超人気書き下ろし長編時代小説第46弾。
・失意ノ方 内容(「BOOK」データベースより)
江戸城中を揺るがした佐野善左衛門の刀傷騒ぎのあと、尚武館から姿を消した松浦弥助は、自らが手にかけた薮之助の遺髪を懐に忍ばせ、伊賀泉下寺を目指していた。一方江戸では、坂崎磐音が月に一度の墓参のため忍ヶ岡の寒松院を訪れていた。その帰路、竹屋ノ渡し場に立った磐音は、向こう岸から近付く乗合船に思わぬ人物の姿を認め・・・。超人気書き下ろし長編時代小説第47弾。
・白鶴ノ紅 内容(「BOOK」データベースより)
城中で十代家治の御不例が囁かれ、水面下で十一代就位への準備が進められる中、雨上がりの小梅村には嫡男空也に稽古をつける坂崎磐音の姿があった。その日の夕暮れ、尚武館の住み込み門弟の一人が突如行方をくらます。翌日内藤新宿に姿を現したその門弟は食売旅篭の店先に立っていた。一方、八月朔日、金龍山浅草寺の門前に新たな紅屋が店開きし・・・。超人気書き下ろし長編時代小説第48弾。
・意次ノ妄 内容(「BOOK」データベースより)
天明8年7月、小梅村では坂崎磐音の嫡男空也が木刀を手に、独り黙々と稽古に励む日々が続いていた。そんな折り、尚武館道場を訪れた速水左近の口から思いもよらぬことを告げられた盤音は、その知らせに驚愕し言葉を失う。やがてその磐音のもとに、小梅村から姿を消していた弥助から文が届き・・・。超人気書き下ろし長編時代小説第49弾。
来年の50巻・51巻での完結に向けて、ようやく追い付いた。
アマゾンの書評を見てるとグダグダ文句を言いながら読んでる人、気にらないにも関わらず最後まで読むと意地をはってる方、結構いますね。
そこまで嫌なら読む必要ないと思うけどなぁ。
史実通りに、田沼意次の息子・意知が江戸城内で暗殺され、田沼意次も失脚。その遠景・背景に磐音とその仲間を上手に絡めたのは見事。
だが、意次によって辛酸を舐めさせられたことを思えば(徳川家基の死から磐音の養父にして尚武館先代道場主・玲圓夫妻の殉死は読んでいて、本当に哀しく辛かった)、最後に意次が失脚・病死というのは史実とはいえ、拍子抜けしてしまう。
でも、史実に文句を言ったところで、しゃあない。
利次郎、辰平の結婚は喜ばしいが、結婚したと思ったら、そこで数年飛んで2人が仕官し、住込門弟から藩邸住みに変わったのには驚いた(笑)。
磐音の若き日の婚約者・奈緒が紆余曲折を経て、家族あるいは妹のような存在として、磐音ファミリーに加わったのも、長年の読者としては嬉しい。
田沼が遺した最後にして最強の刺客7人が弱いという声もあるが、そんなことはない。霧子も利次郎も優れた武者なのだから。
磐音の長子・空也もただの少年ではない。天才と努力の人である。そして、実力では自分より強いはずの刺客にいかにして勝つことができたのか、ちゃんと修行の中に伏線がある。
犬が刺客を倒してもいいじゃないか(笑)。
ただ、田丸輝信と竹村早苗の急接近は唐突かな(笑)。
大団円を愉しみにしてる。
〔評価〕★★★☆☆
次は『密室蒐集家』(大山誠一郎/文春文庫)
2015年11月08日
みずは無間
・内容(「BOOK」データベースより)
無人宇宙探査機の人工知能には、科学者・雨野透の人格が転写されていた。夢とも記憶ともつかぬ透の意識に繰り返し現われるのは、地球に残した恋人みずはの姿。法事で帰省する透を責めるみずは、就活の失敗を正当化しようとするみずは、リバウンドを繰り返すみずは…無益で切実な回想とともに悠久の銀河を彷徨う透がみずはから逃れるため取った選択とは?選考委員満場一致の、第1回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作。
主人公は一流ではない普通の科学者・雨野透のAI人格。
特別なミッションもなく、彼のAI人格を載せた無人探査機は宇宙を漂う。地球に残してきた恋人みずはのことを思い出しながら・・・。
このみずはがなかなかウザい、というか、重い。雨野にべったり依存している。彼女の中に巣くう、深い飢餓感・・・。
AI雨野は彼女のことをできるだけ思い出さないようにしているが、それでも彼女の言葉、表情がふと蘇る。
地球と通信もできず、退屈を紛らわせるため、みずはを思い出さないため、疑似生命体づくりに熱中し、やがてDと名付けた彼らを宇宙にリリースする。
その次は、自分をコピーして分割し、宇宙にばらまく。
AI雨野のこの行為が物語を展開するキーになる。
様々な形態・イデオロギーを持つ、様々な分派に成長したDとの邂逅。これがなかなか哲学的で読ませる上、意外にもスペクタクル。
地球にいる本物の雨野、みずはの運命は・・・?
哀しい衝撃が訪れる。
ただ、ラストはちょっと不満が残るな〜。とはいえ、他に処理の仕方が無いかも。
〔評価〕★★★☆☆
次は、『弓張ノ月 居眠り磐音 江戸双紙 46』(佐伯泰英・著/双葉文庫)。
2015年11月06日
彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone?
・内容(「BOOK」データベースより)
ウォーカロン。「単独歩行者」と呼ばれる、人工細胞で作られた生命体。人間との差はほとんどなく、容易に違いは識別できない。研究者のハギリは、何者かに命を狙われた。心当たりはなかった。彼を保護しに来たウグイによると、ウォーカロンと人間を識別するためのハギリの研究成果が襲撃理由ではないかとのことだが。人間性とは命とは何か問いかける、知性が予見する未来の物語。
まさか、ここに来て新シリーズとは。
引退宣言の際、引退までの執筆・刊行予定を告知していたが、その中にこのシリーズがあったかどうか、記憶が定かではない。
もちろん、予定は変わることがある。
森氏のサイトを確認してみたら、
GシリーズもXシリーズも未完なのに、新しいシリーズの執筆依頼を受けました。GもXもあと少しだったので(「もう少し待ってほしい」と)抵抗したのですが、これまでにない強いプッシュで、編集部の本気度がわかり、引き受けました。(略)とりあえず、10作くらいは続けるつもりで、しばらくは年3作のペースで出ます。
と書いてあった。なるほど。
Wシリーズと銘打たれた今シリーズ。
いかにも森氏らしい、クールでドライ、そしてどこか無垢で微笑ましい作品だ。
人間と見分けがうかないレベルまできたウォーカロン。
本作に登場するミチルという名の少女。百年シリーズとの関連は?
そして、やっぱり出てきた、あの人。
そこに込められた作者の意図と企みは?
とりあえず、今作の最後には心地よい脱力が待っていた(笑)。
〔評価〕★★★☆☆
次は、『みずは無間』(六冬和生・著/ハヤカワ文庫)。


