2014年07月30日

東京プリズン




・内容(「BOOK」データベースより)
日本の学校になじめずアメリカの高校に留学したマリ。だが今度は文化の違いに悩まされ、落ちこぼれる。そんなマリに、進級をかけたディベートが課される。それは日本人を代表して「天皇の戦争責任」について弁明するというものだった。16歳の少女がたった一人で挑んだ現代の「東京裁判」を描き、今なお続く日本の「戦後」に迫る、毎日出版文化賞、司馬遼太郎賞、紫式部文学賞受賞作!


 単行本刊行時に話題を呼んだ作品。ということで、赤坂真理氏は初読みである。

 日本で食うや食わずの翻訳家となったマリが電話で、アメリカ北部の閉塞感漂う寒さ厳しい田舎でホームステイする16歳の自分と繋がる。

 時にマリは、戦後まもない頃の母親が見たであろう占領下の日本を幻視する。

 そして、リトルピープルや大王〔オオキミ〕、マリに食されたヘラジカがマリに話しかける。

 こういう村上春樹氏を連想させる語りは、それなりに楽しいのだが・・・。

 大東亜戦争、東京裁判、戦後、日米関係、天皇制の問題について、右の言説にも左の言説にも普通の人の感覚と言葉で痛撃を与える作品を期待していたのだが、グダグダの小説にしか思えなかった。

〔評価〕★★☆☆☆


 次は『思い出のマーニー』(ジョージ・G・ロビンソン著/高見浩・訳/新潮文庫)
posted by ふくちゃん at 20:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 純文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月11日

楽園のカンヴァス




・内容(「BOOK」データベースより)
ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンはある日スイスの大邸宅に招かれる。そこで見たのは巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵。持ち主は正しく真贋判定した者にこの絵を譲ると告げ、手がかりとなる謎の古書を読ませる。リミットは7日間。ライバルは日本人研究者・早川織絵。ルソーとピカソ、2人の天才がカンヴァスに篭めた想いとは−。山本周五郎賞受賞作。


 美術には全く詳しくない。成績も悪かったし。

 しかし、北森鴻氏の手になる美術をモチーフにしたミステリ群は面白い。漫画の『ギャラリーフェイク』も腰を据えて読んだことはないが、時折目にしていたた(アニメも含めて)。

 不確かさやある種のいかがわしさも込みで、美術の奥深さや浪漫に惹かれるものはある。


 さて、本作。

 ニューヨーク近代美術館のアシスタント・キュレーターであるティム・ブラウンと新進の若手研究者・早川織絵。1983年のスイス・バーゼルを舞台に世界最高峰のアンリ・ルソーの専門家2人が、かの画家の幻の作品の取扱い権利(ハンドリングライト)を賭けて挑む、真贋判定を含む講評対決。

 そして、その鍵を握る1908年のパリに生きるアンリ・ルソーやピカソを活写する謎の物語『夢をみた』。

 果たして、『夢をみた』は真実なのか、創作なのか。

 幻の作品『夢をみた』は、アンリ・ルソーの真筆なのか。

 完全に秘密裡に行われているはずの講評対決なのに、『夢をみた』を入手すべくティムに接触してくる様々な人物たち。

 どのように収束するのか、楽しく読んだ。

 ・・・が、結局のところ、曖昧に終わる。美術ミステリという触れ込みではあるが、ミステリとしては弱いかな。

 そして、序盤と終盤に置かれた現在(2000年)の織絵の物語が、とってつけてようだ。自信満々で颯爽としていた彼女が、なぜ研究の第一線から退き、何かに怯えるように周囲と壁を築いて地味にシングル・マザーとして暮らしているのか。

 そこもしっかりと描いて欲しかった気がする。

〔評価〕★★★☆☆


 次は『東京プリズン』(赤坂真理・著/河出文庫)。
posted by ふくちゃん at 19:52| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月07日

ラバー・ソウル




・内容(「BOOK」データベースより)
幼い頃から友だちがいたことはなかった。両親からも顔をそむけられていた。36年間女性にも無縁だった。何度も自殺を試みた − そんな鈴木誠と社会の唯一の繋がりは、洋楽専門誌でのマニアをも唸らせるビートルズ評論だった。その撮影で、鈴木は美しきモデル、美縞絵里と出会う。心が震える、衝撃のサスペンス。


 「このミス」2013年版13位。同じ年の「週刊文春ミステリーベスト10」11位、「本格ミステリ・ベスト10」19位の作品。

 期待を持って読んだのだが。。。

 700ページ弱の大作であるが、細かく章立てされており、読みやすい。

 病気が元で人を恐怖と嫌悪を抱かせる容貌の持ち主として幼い頃から絶望と孤独の中で文字通り閉じ籠って生きてきた主人公・鈴木誠。

 ひょんなことから美しいモデルの女性と知り合った彼が、自分勝手な欲望と独善からストーカーとなり犯罪を犯していく様を、本人視点の物語と多くの登場人物のモノローグ(警察の取り調べにおける証言)で描いていく。

 ・・・と思いきや、そこには壮大な叙述トリックが仕込まれており(人によってはアンフェアだと怒り出すかも)、最後に物語の意味や印象は反転する。

 だが、そこで感動するには、ある主要人物の実態があまりにあんまりである。

〔評価〕★★★☆☆


 次は、『楽園のカンヴァス』(原田マハ・著/新潮文庫)。
posted by ふくちゃん at 20:35| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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