2014年10月28日

突変




・内容(「BOOK」データベースより)
関東某県酒河市一帯がいきなり異世界に転移(突然変移=突変)した。ここ裏地球は、危険な異源生物が蔓延る世界。妻の末期癌を宣告された町内会長、家事代行会社の女性スタッフ、独身男のスーパー店長、陰謀論を信じ込む女性市会議員、ニートの銃器オタク青年、夫と生き別れた子連れパート主婦・・・。それぞれの事情を抱えた彼らはいかにこの事態に対処していくのか。特異災害SF超大作!


 WEB『本の雑誌』で激賞されていたので、購入。読んだことはないが、人気スペースオペラ『星界の紋章』シリーズの著者らしいので、期待したが・・・。

 裏切られた。

 非日常的異世界に文字通り町と共に突然放りこまれた人々の「日常」を描くということで、アンチクライマックス的な起伏の少ないストーリーはまあ良い。

 いや、一応は異源生物との攻防というクライマックスはあるが、全くドキドキしない。

 日本国内で裏地球側に裏返ったのは、沖縄の久米島、関西広域に続き、今回の舞台である関東某県酒河市が三例目であるのに、なぜ裏日本に既に国の関東事務所があり、裏日本の房総半島あたりで事業が行われているのか。

 結局のところ、ほぼ名前だけの登場に過ぎなかった銀座城はどんな組織なのか。

 世界を理解するためのディテールが足りない。だから、リアリティが立ち上がってこない。

 登場人物に魅力がなく、感情移入できる存在がいない。

 結末も半端。

 巻末解説も絶賛しているが、全く同意できない。

 ひょっとすると続編があり、いろんなことが徐々に明らかにされるのかもしれないが、もう読まないだろう。

〔評価〕★☆☆☆☆


 次は『宇宙戦艦ヤマト2199 5』(むらかわみちお・著/角川コミックエース)
posted by ふくちゃん at 18:17| Comment(0) | TrackBack(0) | SF | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月20日

月は誰のもの 髪結い伊三次捕物余話




・内容
江戸の大火で別れて暮らすことになった髪結いの伊三次と芸者のお文。仲の良い夫婦をめぐる騒動を夜空にかかる月が見守っている。伊三次の色恋沙汰、お文の父親のこと、八丁堀純情派に屈した本所無頼派のその後・・・。長女・お吉が誕生する頃の、語られることのなかった十年を描く傑作長編。大人気シリーズ、初の書き下ろし!
(裏表紙より)


 人気シリーズが初のいきなり文庫である。

 しかし、まだ単行本から文庫になっていない作品が2つもあるのに、今ここでこの文庫を買って読んで良いものか。

 と思ったら、これはシリーズ8作目の『我、言挙げす』と9作目『今日を刻む時計』の間は10年間も時間がジャンプしているのだが(その理由は当ブログ『今日を刻む時計 髪結い伊三次捕物余話』を参照)、その10年の間のエピソードを描いたものと知り、安心して購入。

 シリーズ初の長篇でもあるが、3つの中篇エピソードを順番に繋げただけという感じ。

 でも、3つとも良い話である。

 特に若かりし頃は、追う者と追われる者、正義漢と悪たれだった、不破龍之進と薬師寺次郎衛が大人になって再会し、酒を飲みかわす友となる話がとても良い。

 『慶次郎』無き今、このシリーズは長く続けてもらいたい。

〔評価〕★★★★★


 次は、『突変』(森岡浩之・著/徳間文庫)。
posted by ふくちゃん at 21:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史・時代小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月15日

ソロモンの偽証 第II部 決意

 


・上巻内容(「BOOK」データベースより)
2人の同級生の死。マスコミによる偏向報道。当事者の生徒達を差し置いて、ただ事態の収束だけを目指す大人。結局、クラスメイトはなぜ死んだのか。なにもわからないままでは、あたし達は前に進めない。だったら、自分達で真相をつかもう−。そんな藤野涼子の思いが、周囲に仲間を生み出し、中学三年有志による「学校内裁判」開廷が決まる。求めるはただ一つ、柏木卓也の死の真実。

・下巻内容(「BOOK」データベースより)
いよいよ動き出した「学校内裁判」。検事となった藤野涼子は、大出俊次の“殺人”を立証するため、関係者への聴取に奔走する。一方、弁護を担当する他校生、神原和彦は鮮やかな手腕で証言、証拠を集め、“無罪”獲得に向けた布石を着々と打っていく。次第に明らかになる柏木卓也の素顔。繰り広げられる検事と弁護人の熱戦。そして、告発状を書いた少女が遂に・・・。夏。開廷の日は近い。


 学校内裁判を立ちあげ、検事役を引き受ける涼子。彼女を事務官として支える吾郎と一美。

 警察は自殺と断定した柏木卓也の死。

 その卓也を殺害した容疑をかけられた学校一の不良・俊次の弁護人となった和彦(唯一の他校生徒)と助手の健一。

 おそらく殺人ではない、俊次は犯人ではない、彼の殺人を訴える告発状は嘘・・・それもわかった上で。

 勝ち負けではなく、同じ中学校の生徒が死んだのか、ただその真実を知るために、級友、保護者、教師、マスコミ、警察の間を奔走し、証拠や証言を集める。

 そして、陪審員を買って出た8人の生徒たち(最後に1人増えて9人になるが)と判事役の康夫と廷吏役の晋吾。

 中学生がんばれ!

 という気持ちになってくる。特に検事と弁護士とそのパートナーたちは揺れ動き、一瞬一瞬に成長しているように見える。苦難もあるけど青春だなぁ。

 自分が中学生だった頃を思い出す。

 同じような状況になったとき、自分たちにもこんなことができただろうかと。

 多分やれただろう。自慢ではないが(いや自慢だな)、友にも、教師にも恵まれていたから。

 だが、しかし。

 本当に柏木卓也は自殺なのだろうか。自殺ならば、その理由はなんだったのだろうか。健一が感じる和彦へのかすかな違和の向こうには何があるのか。

 疑問を孕んだまま、第V部ではいよいよ学校内裁判が開廷する。


〔評価〕★★★★★


 次は『月は誰のもの 髪結い伊三次捕物余話』(宇江佐真理・著/文春文庫)。
posted by ふくちゃん at 22:48| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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