2015年06月22日

怨讐星域1・2・3




・1‐内容紹介
地球最期のとき。旅立った3万人と、残された70億人。太陽のフレア膨張による地球消滅から逃れるため、アジソン米大統領と選ばれた3万人だけを乗せた世代間宇宙船ノアズ・アークが、密やかに出航した。残された人々はノアズ・アークを呪い、大統領の娘ナタリーの恋人が発明した星 間転移で決死の脱出を図った−。2つの人類の目標は、172光年先にある約束の地。生き残りを賭け闘う人間それぞれの受難、愛憎、そして希望を通して、世界の喪失と再生を描く、SF大河ロマン。

・2‐内容紹介
2つの人類の運命。172光年の旅路と、創世される新世界。滅びの地球から脱出した、2つの人類。その1つは宇宙船ノアズ・アーク内で、結婚して子を産み育てながら172光年先を目指していた。いま1つの人類も、星間転移で到達した約束の地・エデンにて世代を重ねながら、新たな文明社 会を築いていた。最初の転移者から数えて第5世代のタツローは、入植を祝う降誕祭の準備に奔走する日々。彼はやがて、歳月を超えて受け継がれたノアズ・アークへの憤怒と憎悪に直面するが・・・。

・3‐内容紹介
邂逅する人類たち。待ち受けるのは災厄か、あるいは?ノアズ・アークは172光年の旅を終え、約束の地・エデンの遷移軌道上に辿り着いた。一方でエデンの住民は、首長アンデルスの号令の下で皆兵化と軍拡を進めていた−全てはノアズ・アーク乗員の皆殺しのために。地球消滅から長い年月を経て、再会を果たす人類の末裔たち・・・。やがて空前の大災厄がそれぞれに襲いかかるとき、最後に残されるのは積年の怨讐か、それとも−。人間と人間の相剋と未来を問うSFクロニクル完結。


 1「ノアズ・アーク」、2「ニューエデン」、3「約束の地」の3巻から成る、長い長い人類の年代記。

 ある日、地球の滅亡が不可避であることが判明する。太陽が肥大化し、地球を飲み込むのだ。正確な日時は不明だが、そう遠くない将来に。

 その事実は大部分の人類には伏せられたまま、アメリカのアジソン大統領をトップとして選抜された全世界2万人が種の存続のため、密かに建造された長距離航行可能な宇宙船で地球を脱出する。

 実は遥か彼方172光年先に人類の生存に適した惑星が発見されていたのだ。

 やがて、残された人類もそれらの事実を知る。そして、滅び去る運命だった彼等にも奇跡が・・・。

 どんな物質も設定した空間に転送する技術が開発されたのだ。もちろん人間さえも。

 一部の人類は地球と運命を共にすることを選ぶが、大多数が172光年先の「約束の地」への転送を選ぶ。

 転送技術は完璧ではなかった。それでも何割かの人類は「約束の地」にたどり着き、原始時代に逆戻りしたかのようなギリギリの生存環境の中、未知の生物などの脅威に晒されながらも、生きていく。

 やがて、何世代も経て、約束の地=ニューエデンで文明を築いた人類は、いつかこの地を宇宙船で訪れるであろう“アジソン一味”の末裔への復讐をいわば国是としていた。

 一方のノアズ・アーク号も世代を重ねる。地球を知らず、約束の地に辿りつくこともなく、いつか約束の地に辿りつく子孫を残すために人生を送る人々。個人としては、そんな人生に意味があるのか・・・。

 大地も、風も、緑も、海も、川も、太陽も、何もかも・・・精緻なバーチャル・リアリティでは知っていても、本物は知らない人々。

 彼等にも、仕事があり、友がいて、恋が生まれ、家族がいる。やはり人生があるのだ。まさか、先に地球から約束の地にたどり着いた人類がいるとは露知らず・・・。

 やがて邂逅する2つの人類。復讐と戦争か。和解と融合か。


 大勢のキャラクターがずっと登場するようなスペオペではない。短篇ごと、一篇ごとに時代も人も入れ替わる構成である。

 この人達の話をもっと読みたい・・・と思っても、次の章では全く異なる話になる。

 それがいい。

 あるエピソードに登場した人物の子孫が、別のエピソードで登場するのも、予想される展開だが、それゆえに楽しい。


 2巻のラスト・エピソード「七十六分の少女」で、転送中のアクシデントによりノアズ・アーク号に76分間だけ現れた少女ミユキ。偶然出会ったジョナと恋に落ち、約束の地での再会を約束したが・・・。2人は出会えただろうか。

〔評価〕★★★★☆


 次は、『虚像の道化師』(東野圭吾・著/文春文庫)。
posted by ふくちゃん at 22:56| Comment(0) | TrackBack(0) | SF | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月16日

三国志 第八巻/第九巻




・第八巻 内容(「BOOK」データベースより)
戦え、と天はわれに命じている。天意を感じた関羽はわずかに笑み、そして孫権の兵に突入し斃れた。復讐を誓い荊州に出兵した劉備だったが、自らも死の病に伏す。三十余年の霸道を駆けぬけた魏王曹操もついに崩じ、王位は嗣王の曹丕に。戦国の英雄たちの死によって後漢王朝期は終焉を迎え、今ほんとうの三国時代が始まる − 。

・第九巻 内容(「BOOK」データベースより)
後世に名高い「出師の表」を書き、孔明は魏を征伐すべく軍を発する。しかし先鋒を任せた馬謖は兵法には精通しているが実戦経験に乏しく、惨敗を喫す。未だ成熟をみない国の法を重んじ、涙を流しながら馬謖を誅す孔明。一方、尊号を王から皇帝に改めた孫権は、早期の天下平定を目指し遼東の公孫淵と手を結ぼうと使者を送るが・・・。


 七巻まで読んだところで長らく中断していたが、最近十二巻が出て文庫版完結、ということで再び読み始めた。

 八巻・九巻では、魏王の曹操は死に、漢王朝の最後の皇帝・献帝から禅譲を受けた曹丕が魏王朝の皇帝に。

 蜀で自ら皇帝となった劉備も亡くなり、息子の二代皇帝・劉禅と諸葛亮孔明の時代へ。

 呉の孫権も自らを皇帝となり、三つの王朝と皇帝が中華に並び立つ真の三国時代が始まる。

 宮城谷氏の作品は相変わらず物語に没入することを許さない(笑)。至る箇所で、背景やら、人となりやらの説明が入ってくるからだ。

 リーダビリティという点では、弱点を抱える作風である。

 とはいえ、氏の人物評は興味深い。

 三国志に数多く登場する英傑の中では、曹操を最も高く評価しているようだ。劉備や孔明、孫権に対しては意外に手厳しい。

 かの有名な“孫子の兵法”に対しても辛口である。

 とはいえ、どんな人物に対しても、評価すべきところは評価し、批判すべき点は批判しており、公正な目で三国志を見つめているように思える。

 リーダーとは何か。なんだか勉強になる。ビジネスマンに受けそうだ。

〔評価〕★★★☆☆


 次は、『怨讐星域 1・2・3』(梶尾真治・著/ハヤカワ文庫)。
posted by ふくちゃん at 19:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史・時代小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月03日

名もなき花の 紅雲町珈琲屋こよみ




・内容(「BOOK」データベースより)
小蔵屋を営むお草は、新聞記者の萩尾の取材を手伝って以来、萩尾と、彼のライフワークである民俗学の師匠・勅使河原、その娘のミナホのことが気にかかっている。15年前のある“事件”をきっかけに、3人の関係はぎくしゃくしているらしいのだ。止まってしまった彼らの時計の針を、お草は動かすことができるのか。好評第3弾!


 発売されたのは昨年の夏だから、1年遅れで手に取った、シリーズ第3弾。

 一応は、1話完結の連作短編だが、1巻全体で1つの日常の謎型ミステリにもなっている。

 若い頃に夫を離婚し、幼子も喪った心の傷を持ちながら、こだわりの和雑貨とコーヒーを売る小さな店・小蔵屋を営む老年の女性・お草さんが主人公。

 どこかほっこりしそうな設定で、実際そういう部分もあるが、それだけでない。

 誰も持つ愚かさも描かれ、時に苦みを感じる。

 が、それをも優しく見つめる著者の筆致は悪くない。地味ではあるが、なかなか達者な1冊。

〔評価〕★★★☆☆


 次は、『三国志 第八巻』(宮城谷昌光・著/文春文庫)。
posted by ふくちゃん at 21:14| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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