2011年02月13日

風の陣 天命篇



 第1巻・第2巻連続読みからかなり間が空いた。登場人物も多いし、すっとこの世界に戻れるかなと思ったが、杞憂であった。読み始めると、止まらない。


・内容(「BOOK」データベースより)
恵美押勝が討伐されて1年近く−。淳仁天皇を廃した孝謙上皇が帝位に返り咲き、再び内裏に訪れたかに見える平穏。その裏には、女帝を誑かし、陰で政治を操る怪僧・弓削道鏡の存在があった。黄金眠る陸奥に食指を伸ばし、帝位さえ脅かし始める飽くなき道鏡の欲望、その阻止を図る牡鹿嶋足、物部天鈴らの奇計妙策の数々・・・。蝦夷の存亡と誇りを懸けた、新たなる戦いを描くシリーズ第3弾。


 中枢での権力争いというものは、いつの時代も醜い。権勢欲にまみれた人間というのは、いつの世も果てることはない。

 この巻で上り詰めていくのは、怪僧・道鏡である。嶋足と天鈴は道鏡を利用して、蝦夷にとって危険な存在となりつつあった権力者・恵美押勝(藤原仲麻呂)を倒すわけだが、道鏡は時の上皇、後に天皇に戻った称徳帝(女帝)に寵愛され、遂には天皇と同等の地位=法王となる。さらには「次の天皇は道鏡に」などいう神託を演出して、皇位継承を目論む。真偽を確かめるために、宇佐八幡神宮(大分県)に出向いた和気清麻呂が、ご託宣は本物だと復命していたら・・・。

 まさに権謀術数の数々。なのに、決して陰惨な物語にはならない。

 朝廷から蔑視される蝦夷(えみし)でありながら異例の出世を遂げても、武者の心を忘れずに謙虚に生きる嶋足(実在の人物)。その嶋足を裏で支えて出世の道を歩ませ、蝦夷が暮らす陸奥の地の自立平和のために、時には嶋足を怒らせ、呆れさせつつも、智謀を巡らせる豪放磊落な天鈴(架空の人物)。2人の主人公のキャラクターや関係性のおかげである。

 嶋足が官位では自分が上になっても敬愛し、臣下の礼を取る元上司の坂上苅田麻呂。陸奥にいる若き蝦夷のリーダーの鮮麻呂(史実では呰麻呂)。この2人もいい。

 「続日本紀」の中にある東北人≒蝦夷への侮蔑の言葉が執筆動機となったという一連の蝦夷シリーズ。中でも『火怨』は最高傑作だと思うのだが、その前段である『風の陣』も本当に面白い。ちなみに、蝦夷(えぞ)はアイヌの人々を指すそうだが、蝦夷(えみし)と無関係ではないようだ。

 第4巻も読もうかと思ったが、最終第5巻が文庫になってから、一気に読むことにして、我慢。


 次は、『武士道セブンティーン』(誉田哲也・著/文春文庫)。


posted by ふくちゃん at 20:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史・時代小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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