2011年03月19日

忍びの国



 地震と原発は気になるし、母親は入院中(腰椎圧迫骨折)だし、まだ「映画に行こう!」という気持ちが湧いて来ない。2時間も現実世界から完全離脱する気分じゃない。

 だが、小説は読み続けている。


・内容(「BOOK」データベースより)
時は戦国。忍びの無門は伊賀一の腕を誇るも無類の怠け者。女房のお国に稼ぎのなさを咎められ、百文の褒美目当てに他家の伊賀者を殺める。このとき、伊賀攻略を狙う織田信雄軍と百地三太夫率いる伊賀忍び軍団との、壮絶な戦の火蓋が切って落とされた−。破天荒な人物、スリリングな謀略、迫力の戦闘。「天正伊賀の乱」を背景に、全く新しい歴史小説の到来を宣言した圧倒的快作。


 映画化される話題のデビュー作『のぼうの城』より面白い。一作ごとに進歩・進化するのはプロの作家として、当たり前かも知れないが。


 普段はどこかとぼけた感じで、女房に全く頭の上がらない無門の姿は、戦いの中にあってさえ笑いを誘う。だが、忍者として本気で敵を倒しにかかる際の彼は「酷薄」であり、その術は「壮絶」で、結果は「凄惨」である。

 今の我々の常識、あるいは当時の社会の常識とも違う伊賀の国のあり方も興味深い。

 国を纏める実質的な頭領(武将)を持たず、66の有力家長(地侍)とその下人で構成される小勢力同士が、国内では些細な理由でも殺しあい、外に向かっては軍事同盟を結んで徹底抗戦する。他人の命を奪うことに心理的抵抗はなく、自分自身も含めて殺される側が弱く間抜けなのだと考える。「こいつらは人ではない」と思い、他の国に出て行く伊賀者もいるが、例外的な存在でしかない。伊賀忍者は「非道」であることがデフォルト(標準)なのだ。

 殺伐とした小説になりかねないところだが、無門のとぼけた味と織田方の武将・日置大膳(実在人物)の「いかにも戦国武士らしい」キャラクタ設定が作品を軽妙なものにしてくれる。 

 それにしても『のぼうの城』もそうだったが、もっと密度の濃い作品にできると思うのだが・・・。「ライト戦国小説」って感じで(ラノベ批判ではない)、やや物足りなさが残る。がっつり堪能した!という高揚が残らない。

〔評価〕★★★☆☆


 次は『船に乗れ! 1〜3』(藤谷治・著/ポプラ文庫ピュアフル)。


posted by ふくちゃん at 19:41| Comment(2) | TrackBack(0) | 歴史・時代小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ふくちゃんさん、こんにちは。
お母様、お大事に。kinkacho母も腰椎圧迫骨折でひと夏入院しました。大変です。
ライト歴史小説が最近多いですね。「早雲の軍配者」もやっぱりライトでした。
昔の大家の初期作品は荒削りだけどライトではなかったですね。
Posted by kinkacho at 2011年03月20日 23:49
>kinkachoさん。
「早雲の軍配者」も文庫になったら読むつもりですが、やっぱりライトですかぁ〜。
時代なんですかね。
こういう作品を入り口にいろんな歴史・時代小説に触れて頂きたいものです(←何様!?)。
Posted by ふくちゃん at 2011年03月22日 00:34
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