2012年05月02日

桐島、部活やめるってよ



・内容(裏表紙より)
田舎の県立高校。バレー部の頼れるキャプテン・桐島が、理由も告げずに突然部活をやめた。そこから、周囲の高校生たちの学生生活に、小さな波紋が広がっていく。バレー部の補欠・風助、ブラスバンド部・亜矢、映画部・涼也、ソフト部・実果、野球部ユーレイ部員・宏樹。部活も校内での立場も全く違う5人それぞれに起こった変化とは・・・?瑞々しい筆致で描かれる17歳のリアルな青春群像。


 著者が19歳ということで話題になった、第22回小説すばる新人賞受賞作の文庫化である。

 予想以上に良かった。

 思春期ならではの残酷さと窮屈さ。高校生が生きる世界の卑小さ。そして、それらと表裏一体にある、高校生という時間にしかない、美しさと素晴らしさ。

 重すぎず、軽すぎず、絶妙のバランスで描いている。

 ここに書かれていることを理解できない人は、思春期当時の自分をすっかり忘れてしまった人かも知れない(笑)。


 作中、チャットモンチーやaikoの楽曲が登場することに批判もあるようだが、しょうもない大人のしょうもない批判である。登場する全てのアイテムに、文学的意味を付加する必要などない。

 彼女達の音楽が(どちらも悪くないと思うが)、100年先に残っているかどうかは分からない。しかし、ビートルズのように評価の定まったモノを扱うだけでは、リアルな現代風俗小説を書くことなどできない。

 だいたい風俗小説は、純文学に比べて文学的に低く評価されがちである。小説ならではの虚構性・思想性に欠け、表面的なリアリズムに留まりがちだし、風俗の移り変わりとともに廃れてしまうからだろう。しかし、いろんな小説があって良いではないか。ご立派な文学作品もいいが、それだけではツマラナイ。


 『桐島、部活やめるってよ』に話を戻せば、惜しむらくは情景描写に一部パターン化された表現があること。

 さらに、最大の欠点は、桐島の存在(あるいは不在)という設定がなくても、書ける話だということ。すなわち「桐島」が物語の核となり得ていない点である。

 しかし、それが致命傷にはなっていない。

 今後、ちょっと追いかけてみたい若手作家である。

〔評価〕★★★☆☆


 次は、『追想五断章』(米澤穂信・著/集英社文庫)。


posted by ふくちゃん at 15:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 青春小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。