2012年05月05日

おそろし 三島屋変調百物語事始




・内容(「BOOK」データベースより)
17歳のおちかは、ある事件を境に、ぴたりと他人に心を閉ざした。ふさぎ込む日々を、叔父夫婦が江戸で営む袋物屋「三島屋」に身を寄せ、黙々と働くことでやり過ごしている。ある日、叔父の伊兵衛はおちかに、これから訪ねてくるという客の応対を任せると告げ、出かけてしまう。客と会ったおちかは、次第にその話に引き込まれていき、いつしか次々に訪れる客のふしぎ話は、おちかの心を溶かし始める。三島屋百物語、ここに開幕。


 宮部みゆきは、時代小説家としては天才だと思う。本当に。『孤宿の人』、『ぼんくら』、『日暮らし』、『おまえさん』も凄いと思ったが、これも素晴らしい。

 客たちがおちかに語る物語の恐ろしさ。人間の妄執がにじみ出た、スプラッタ・ホラーとは全く質の異なる怖さである。

 特別な悪人がいなくても、時として不幸にして捩じれ、取り返しのつかない悲劇を引き起こし、憎しみや悲しみを残す人の運命の残酷さ。

 最終話での一種の大団円に鼻白む向きもあるかもしれない。しかし、救いのない話、救いのないおちかに、救いをもたらそうとした著者の優しさだと思う。しかも、単なるハッピーエンドではなく、後に続く謎が残っている。不気味なメッセージを最後に残した人外の者とおちかが今後関わっていくのか、続きが早く読みたい。

〔評価〕★★★★☆


 次は、『小説フランス革命8 フイヤン派の野望』(佐藤賢一・著/集英社文庫)


posted by ふくちゃん at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジー・幻想文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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