2012年06月05日

黄金の王 白銀の王




 日本ファンタジーノベル大賞出身の作家・沢村凜氏を初読み。タイトルと“日本ファンタジーの最高峰作品”という言葉に惹かれて購入した。


・内容(「BOOK」データベースより)
2人は仇同士であった。2人は義兄弟であった。そして、2人は囚われの王と統べる王であった − 。翠の国は百数十年、鳳穐と旺厦という2つの氏族が覇権を争い、現在は鳳穐の頭領・ヒヅチが治めていた。ある日、穭(ヒヅチ)は幽閉してきた旺厦の頭領・薫衣(クノエ)と対面する。生まれた時から「敵を殺したい」という欲求を植えつけられた2人の王。彼らが選んだのは最も困難な道、「共闘」だった。日本ファンタジーの最高峰作品。


 ファンタジーということで、架空の国の物語ではあるが、神も悪魔も魔法も英雄も、全能なるモノは何も登場しない。だから、ファンタジーが嫌いという人でも、読めるだろう。それでいて、立派にファンタジーである。

 1人の偉大の王の血を引く、2つの王族=「鳳穐(ほうしゅう)」と「旺厦(おうか)」の若き末裔。1人は脇を固める親族や有力豪族とともに、優れた王として国を統治している。いま1人は現在の体制を守るために、幽閉されている。

 この翠(すい)という国は、鳳穐と旺厦の両方の治世と血で血を洗う覇権争いを繰り返しながら栄えつつも、それとは気付かない程度に少しずつゆるやかに、衰退の道を辿っている。

 そこに海を隔てた大陸に勃興した強力な大国が、攻め込んでくるという情報がもたらされる。現在、王として翠を統べる鳳穐の穭は、父祖たちの「旺厦を滅せよ」という遺訓を捨て、真に国を富ませるには鳳穐と旺厦と恩讐を超えて結束すべきだと、旺厦の薫衣に説く。

 薫衣もまた「鳳穐を滅せよ」という遺訓に背き、穭の考えを受け入れるが・・・。

 敵である鳳穐からも、味方である旺厦からも、憎まれ、蔑視されながら、穭の妹を娶り、穭の義弟として生きる薫衣。

 鳳穐一族の反感・抵抗を硬軟取り混ぜた権謀術数で抑え(時に冷酷とも言えるほど)て潜り抜け、旺厦の一族を守り、薫衣を政治の中枢に徐々に引き入れていく穭。

 ファンタジーにしてはあまりに地味な展開。だが、心と体に刻まれた深い敵意と育くまれる信頼の間で揺れながら、国のために長く困難な闘い挑み続ける2人から目が離せない。

〔評価〕★★★★☆


 次は、『天地明察(上・下)』(冲方丁・著/角川文庫)


posted by ふくちゃん at 18:27| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジー・幻想文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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