2012年06月11日

天地明察(上・下)

 


内容(「BOOK」データベースより)
徳川4代将軍家綱の治世、ある「プロジェクト」が立ちあがる。即ち、日本独自の暦を作り上げること。当時使われていた暦・宣明暦は正確さを失い、ずれが生じ始めていた。改暦の実行者として選ばれたのは渋川春海。碁打ちの名門に生まれた春海は己の境遇に飽き、算術に生き甲斐を見出していた。彼と「天」との壮絶な勝負が今、幕開く−。日本文化を変えた大計画をみずみずしくも重厚に描いた傑作時代小説。第7回本屋大賞受賞作。


 SF『マルドゥック・スクランブル』の冲方丁氏による話題の時代小説。

 序章を読んだときは「あれ?文章、下手になった?」と思い、買ったことを少し後悔しかけたが、そんな思いはすぐに消し飛んだ。

 困難に挫けず一生懸命に何かを極めようと頑張る人の姿が、別の頑張る誰かを励ます。そんな熱い物語に笑い、涙する。

 キャラクタも、筋運びもいい。

 改暦が、当時の日本社会にどれだけインパクトを及ぼす事業であったのか、よく分かる。

 史実に基づいた小説であり、主人公を始め、登場人物のほとんど(ひょっとして全部?)が実在。しかし、その史実や囲碁・天文学・算術などの考証には、結構な疑義があるらしい。巻末に挙げられた参考文献の著者自らが、いろいろツッコミを入れておられるブログも拝見した。専門家から見れば、どうしても気にかかるのであろう(だが、小説・TVドラマ・映画などによって、史実とは異なることが事実として、あるいはイメージとして流布・定着することは珍しくない)。

 春海が時折口にする「必至」は将棋用語らしく、元々囲碁を職業にしていた彼が、そんな言葉を口にするわけがないという指摘もある。

 しかし、そういう誤謬(確信犯?)があるとしても、この小説の魅力が損なわれることはない。事実誤認があったとしても、完成された物語として楽しめれば良いのだ。

 映画が楽しみだ。

〔評価〕★★★★☆


 次は『世界記憶コンクール』(三木笙子・著/創元推理文庫)。


posted by ふくちゃん at 18:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史・時代小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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