2012年06月14日

世界記憶コンクール




・内容(「BOOK」データベースより)
ある日、萬朝報に載った『記憶に自信ある者求む』という求人広告。見たものを瞬時に覚えられる博一は、養父の勧めもあって募集に応じた。見事採用となり、高い給金を得て記憶力の訓練を受けていたのだが − 。心優しき雑誌記者と超絶美形の天才絵師、2人の青年をはじめ明治の世に生きる人々の姿を人情味豊かに描いた、「帝都探偵絵図」シリーズ第2弾。表題作を含む5話収録。


 『人魚は空に還る』に続く『帝都探偵絵図』シリーズ第2弾。

 今回も短編集だが、前作とは少し趣が異なる。

 時の司法大臣を義父に持ちながら、零細雑誌の記者として働く里見高弘。帝都に名高い天才絵師・有村礼。2人の青年が生きる、現在としての「明治」を舞台にした話だけでない。ホームズ=高弘、ワトソン=礼の2人が主人公の話ばかりではないのだ。

 表題作「世界記憶コンクール」の次に収録された「氷のような女」は、高広の義父・里見基博の若かりし頃のお話。まだ世に出ることができず、燻っていた基博が探偵役であり、妻女との馴れ初めを描いた話でもある。清廉、優秀、紳士の司法卿にも、こんな時代があったのだ。

 第3話「黄金の日々」は、前作で高弘らに救われた少年・恵(さとし)が主人公。18歳となった彼もまた成長している。

 第4話「生人形の涙」では、高弘と礼の出会いが描かれる(ただし、礼は殆ど登場しない)。

 最終話「月と竹の物語」で、再び高弘と礼のコンビの活躍を描く、「今」の物語に戻ってくる。

 このシリーズは、今後も高弘と礼だけを中心とした物語を描くのではなく、様々な時間と人を描くことで、深みと広がりを獲得して行くのだろうか。次作では、今回は出番の無かった怪盗ロータスも登場するらしいし、楽しみだ。

 登場人物たちの関係性を始め、物語全体が醸し出す雰囲気が好みである。

〔評価〕★★★★☆


 次は、『連環宇宙』(ロバート・チャールズ・ウィルスン著/創元SF文庫)。


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posted by ふくちゃん at 18:40| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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