2012年07月05日

小説フランス革命9 戦争の足音




・内容(「BOOK」データベースより)
フイヤン派による弾圧で無実の人々が殺され、怒りに燃えるロベスピエール。そんな中、ついに憲法が制定され、改選議員による立法議会が開幕した。フランスの政治は新たな段階に入ったかに見えたが、諸外国からの革命に対する圧力は増し、その脅威に対抗すべく戦争を望む声が国内で高まってゆく。不穏な空気の中、ロベスピエールが取った道は。フランス再生はかなうのか?革命が岐路に立つ、第9巻。


 家族総出の国外亡命に失敗したフランス国王ルイ16世。その顛末を嘘の「誘拐事件」に仕立て上げ、国王の立場を守る代わりに、いわば国王を自らの傀儡とするかのような立憲王政により、革命を有利に終結しようとするブルジョア議員=フイヤン派の面々。

 ところがルイ16世も、したたかである。まずは、フイヤン派と協調して、以前の絶対王政のようにはいかないにせよ、一定の王権を維持する。一方で、亡命貴族や自国への革命波及を恐れる諸外国から圧力に対する、議会勢力(反フイヤン派=ジロンド派)と庶民の反感を利用して、自らも周囲に宣戦布告する。しかし、この宣戦布告は他国の軍隊をフランスに入れることで、自らの王権を制限しようとする勢力をあわよくば一掃することが真の目的なのである(フイヤン派は、戦争には反対しているところが面白い)。

 このあたりのルイ16世の描写が実に「楽しい」。歴史上の一人物ではなく、生きた人間として目の前にいるのだ。

 そして、ロベスピエール。自らが代表を務める政治クラブ=ジャコバン・クラブ内で、諸外国との戦争によりフランス革命を守るべきだというジロンド派の主張が優勢の中、実はこの戦争が絶対王政へ復古を導いてしまうことを看破し、反戦論を展開する。世論の大多数も戦争に賛成する中、勇気ある主張である。一方で、下宿先の美しい娘にドギマギする様は、どこにでもいる一人の青年であり、これまた「楽しい」。

 もちろん、ただ楽しいだけではない。今の日本の状況と対比しながら、政治や正義、人というものを考えつつ、一気に読んでしまう。

 残念ながら、第一部はこの第9巻で終了。第二部は先日、単行本が出たばかり。文庫本の刊行は早くても2年は先だよね・・・。早く読みたい。

〔評価〕★★★★★


 次は、『ビブリア古書堂の事件手帖3 栞子さんと消えない絆』(三上延・著/メディアワークス文庫)。


posted by ふくちゃん at 20:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史・時代小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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