2013年04月19日

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年




・内容(「BOOK」データベースより)
良いニュースと悪いニュースがある。多崎つくるにとって駅をつくることは、心を世界につなぎとめておくための営みだった。あるポイントまでは・・・。


 12日に発売、早くも100万部出荷という村上春樹氏の新刊。最初はじっくりゆっくりと噛みしめるように読んでいたが、後半は結局我慢できずに一気読み。ああ、短いな。

 例によって、妙なタイトルだが、読んでみると中身を反映した真っ当なタイトルに思える。

 村上氏の長篇小説には、『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』のように、超現実的な現象が起こる大長編が多いが、今回の作品は『ノルウェイの森』に連なる、比較的リアリスティックな作品である。

 回収されていないエピソードもあるが、伏線の回収や起承転結を重視する作家ではない(と思う)ので、そんなことはどうでも良い。

 しかし、正直言って、前半は大学生の頃から20年以上に渡り、全作品を読んできた読者である自分にとっては、既視感満載の作品のように感じた。やや強い言葉を使うなら、「村上氏は自己模倣に陥ったのか?」とも思った。

 だが、最後まで読んでみると、そこには妙に切ない寂寥感が残る。何か、胸が疼く。こんな気持ちにさせる作家・作品というものは、やはり僕にとっては他にない。

〔評価〕★★★★☆


 次は、『楊令伝 十五 天穹の章』(北方謙三・著/集英社文庫)。


posted by ふくちゃん at 19:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 純文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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