2013年04月26日

楊令伝 十五 天穹の章




・内容(「BOOK」データベースより)
新しい国の実現を賭けて、梁山泊軍は南宋軍と最後の闘いを続ける。宣賛は、自由市場を認めるよう金国と交渉を始めた。やがて自由市場は江南を席巻し、物流を握る梁山泊の勝利は目前と見えた。だが、百年に一度の大洪水が、梁山泊を襲う。数多の同志の死を胸に秘め、楊令は吹毛剣を手に、敵将・岳飛の前に立つ。混迷の時代に、己の志を貫いた漢たちはどう生き、闘ったのか。楊令伝、夢幻の最終巻。


 結末を知りながら読む・・・って、これまでも経験がないわけじゃない。例えば、原作より先に映画を観て、その結末が同じという場合もあるわけだし。

 しかし、今回は先にそんな情報を入れてはいけなかった。 自分の中で「どうなるんだろうか?」という盛り上がりに欠けた。

 想像よりは、悲惨な終わり方ではなかった。でも、どこか口惜しい。人は沢山あっけなく死ぬし、金国の裏切りは苦々しい。金国も岳飛も圧倒しながら、楊令がこんな形で物語から去ることに対しても、割り切れない気持ちが残る。

 史実と照らし合わせれば、梁山泊はいずれ崩れなければならない。小説だから、史実通りである必要はないし、そもそも梁山泊そのものが史実ではない。他にも史実と異なるところだらけである。だが、さすがに梁山泊が金も南宋も倒し、物流と交易で栄える「民に優しい国」を中原に成立させる・・・なんてストーリーは描けないのだろう。

 水滸伝は最初から梁山泊の敗北の物語である。でも『水滸伝』はまだ良かった。梁山泊が敗れ、頭領の晁蓋や宋江が死しても、まだ『楊令伝』への希望が残されていたから。だが、さらなる『岳飛伝』では、梁山泊はきっとどんどんダメになって行くのではないか。それは読みたくない。

 岳飛は敵であった楊令の思いを継ぐのか・・・。それはないか。それに中国で指折りの実在の英雄・岳飛が主人公であっても、史実通りであれば虚しいラストが待っているような気がしてならない。

〔評価〕★★★☆☆


 次は、『ヴォイド・シェイパ』(森博嗣・著/中公文庫)。


posted by ふくちゃん at 19:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史・時代小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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