2013年06月05日

夜の光




・内容
約束は交わさない。別れは引きずらない。大事なのは、自分に課せられた任務を遂行すること。正体を隠しながら送る生活の中、出会う特別な仲間たち。天文部での活動を隠れ蓑に、今日も彼らは夜を駆ける。ゆるい部活、ぬるい顧問、クールな関係。ただ、手に持ったコーヒーだけが熱く、濃い。未来というミッションを胸に、戦場で戦うスパイたちの活躍を描く。オフビートな青春小説。


 坂木司氏の作品には注目しているつもりだが、これは見逃していたように思う。文庫化されたのは平成23年だ。

 初めて行ったジュンク堂池袋店(思ったより小さかった)で平積みされていなければ、手に取らなかったかも。

 少し立ち読みして、「本当に高校に紛れ込んだスパイの話なのか?いずれにせよ、面白そうだ・・・」と思い、購入。

 ・・・スパイ小説ではなかった。

 お互いに示し合わせたわけではないけれど、高校生活を、高校生という時代を、自分達は任務として遂行しているだけなんだ、いつかココを離れて本当の自分として生きられる場所に出て行くんだ、と思うことで凌いでいる男子2人・女子2人。たまたま天文部に集った4人のそれぞれの視点で語られる連作集。彼ら/彼女らが、なぜそんなふうに思い定めながら生きているのか、それぞれに説得力がある。

 思春期というのは、実に素敵で(と言える自分は幸せだ)、やっかいな受難の時代でもある(それも経験した)。そして、誰もが学校社会の中で、ある種の仮面を被って生きている(一般社会に出ても同じだが)。楽しいけど、息苦しさを感じることもある。

 しかし、この作品は重くない。軽やかだが、いささか軽すぎる気もする。ちょっと、淡々としすぎかもしれない。

 これまで読んだ坂木作品の中では下位に入る。

 だが、高校を卒業し、それぞれの道を歩き始めた4人のつかの間の再会が描かれる5つめの物語は、心地良い。たとえ普段は離れ離れでも、会えばかつてのように繋がることできる友人の存在は、とても貴重なのだ。

〔評価〕★★★☆☆


 次は『パンツァークラウン フェイセズ1』(吉上亮・著/ハヤカワ文庫)。


posted by ふくちゃん at 16:32| Comment(2) | TrackBack(0) | 青春小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。
私は「読書ログ」という読んだ本の管理やレビューを書くサイトの運営をしています。

ブログを拝見したのですが、ぜひ読書ログでもレビューを書いて頂けないかと思い、コメント致しました。

トップページ
http://www.dokusho-log.com/

こちらでメンバーたちのやり取りの雰囲気がご覧になれます。
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読書が好きな人同士、本の話題で盛り上がっています。
もしよろしければ遊びにきて頂ければと思います。

よろしくお願い致します。
Posted by 読書ログ at 2013年06月06日 14:17
>読書ログさん。
コメントありがとうございます。
もうこのブログだけで精いっぱいです(笑)。
ブログで投稿すると同時に、そちらにも同時に投稿できれば良いのですが・・・。
Posted by ふくちゃん at 2013年06月14日 19:49
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