2013年11月19日

小暮写眞館(上・下)




・上巻内容(「BOOK」データベースより)
家族とともに古い写眞館付き住居に引っ越ししてきた高校生の花菱英一。変わった新居に戸惑う彼に、一枚の写真が持ち込まれる。それはあり得ない場所に女性の顔が浮かぶ心霊写真だった。不動産屋の事務員、垣本順子に見せると「幽霊」は泣いていると言う。謎を解くことになった英一は。待望の現代ミステリー。

・下巻内容(「BOOK」データベースより)
人の想いは思いもかけない場所に現れることがある。たとえば写真とか。英一の小学生の弟、光の様子がおかしい。友人のテンコによれば、彼は写眞館の元主、小暮さんの幽霊に会いたいのだという。そして垣本順子、英一と家族、各々が封印してきた過去が明らかになる。読書の喜びがここにある。感動の結末へ。



 『理由』『模倣犯』『名もなき毒』のような重さや苦さを残す作品とは全く異なる、優しく軽やかな現代小説。解説によると『模倣犯』以降、ヘビィな話をロジックやヒューマニズムで書くことに“疲れ”を感じているそうだ。

 風変わりな父と母の趣味で、シャッター商店街の中にある「小暮写眞館」というかつての写真館を、かつての写真館の外観(看板も!)を残したまま、リフォームして購入した家に住むことになった花菱英一。

 彼とその家を仲介した不動産屋の無愛想(を通り越している)女性事務員の垣本順子の2人を除けば、登場人物たちもみなどこか“ほわん”としている。個性的で楽しいキャラクタだ。

 文章も軽妙でおかしみがあり、読みやすい。

 だが、いまいち乗り切れなかった。

 写真の謎。花菱家の哀しい過去。垣本順子の辛い過去。実相の描き方が中途半端な気がする。それこそ『模倣犯』のように、克明に説明することが最善ではなく、書かないことによって想像の余地が残され、物語が膨らむということはあるはずなのだが、この作品に関しては、隔靴掻痒の感じがした。

 『魔術はささやく』『レベル7』『龍は眠る』『火車』あたりまでは、宮部みゆき氏の現代小説も大好きだったのだが・・・。どうも『理由』以降は、相性が良くないようだ。時代小説は、あんなに素晴らしいのに・・・。

 これまた解説によると、この作品は『ステップファザー・ステップ』『我らが隣人の犯罪』などの初期ユーモアミステリの系譜に連なる作品だそうだ。多分両方とも読んだと思うのだが、今作よりも面白く感じたように思う。

 でも現代小説の新刊がまた出たら、「今度こそ」の期待を胸に、また買って読むのだろうが・・・。

〔評価〕★★★☆☆


 次は、『人形遣いの影盗み』(三木笙子・著/創元推理文庫)。


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posted by ふくちゃん at 21:06| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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