2013年11月29日

蜩ノ記




・内容
豊後羽根藩の檀野庄三郎は不始末を犯し、家老により、切腹と引き替えに向山村に幽閉中の元郡奉行戸田秋谷の元へ遣わされる。秋谷は7年前、前藩主の側室との密通の廉で家譜編纂と10年後の切腹を命じられていた。編纂補助と監視、密通事件の真相探求が課された庄三郎。だが、秋谷の清廉さに触れるうち、無実を信じるようになり・・・。凛烈たる覚悟と矜持を描く感涙の時代小説!
(裏表紙より)


 今人気の時代小説作家・葉室麟を初読み。直木賞を獲った話題作である。

 賞を獲った作品が良い作品、賞を獲らなかった作品はそうでもない・・・ということはもちろんない。

 しかし、さすがに賞を獲っただけのことはある。

 戸田秋谷の生き様はもちろんだが、妻の織江、まだ10歳の少年である息子の郁太郎、秋谷に影響されていく庄三郎、郁太郎の友人である百姓の息子・源吉・・・いずれの生き方、死に方も感動的である。

 小説を読んで感動しても、涙が出ることは滅多にない。

 話が逸れるが、泣けることを宣伝材料にする映画や小説の広告を見ると反吐が出る。広報・宣伝マンの罪だ。売るためとはいえ、浅慮に過ぎる。

 でも、この作品には素直に涙した。

 考えようによっては理不尽な話であるのに、そして哀しい話でもあるのに、といかく清々しい。清冽である。哀しくも美しい。秋谷のような生き方は、自分にはとてもできない。

 役所広司氏主演で映画化されるようだ。好きな役者だが、ちょっと僕のイメージとは違う。

 それはさておき、葉室作品に親しんでいる人にとっては、『蜩ノ記』よりも『銀漢の賦』(文春文庫)の方が評価は高いようだ。ぜひ、読んでみよう。

〔評価〕★★★★☆


次は、『謎解きはディナーのあとで2』(東川篤哉・著/小学館文庫)か、『妖怪アパートの幽雅な日常9』(香月日輪・著/講談社文庫)あたり。


posted by ふくちゃん at 19:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史・時代小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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