2014年03月19日

「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー




・内容(「BOOK」データベースより)
甲子園も夢じゃない!?平成17年夏、東大合格者数日本一で有名な開成高校の野球部が、東東京予選ベスト16に勝ち進んだ。グラウンドでの練習は週1日、エラーでも空振りでもかまわない、勝負にこだわりドサクサに紛れて勝つ・・・。監督の独創的なセオリーと、下手を自覚しながら生真面目に野球に取り組む選手たちの日々。思わず爆笑、読んで納得の傑作ノンフィクション!


 久しぶりのノンフィクション。数ページ立ち読みしてみたら面白かったので。

 開成高校といえば、あの開成高校である。東大進学者数トップを誇る、あの。

 そんな開成高校の野球部が東東京大会予選で、なかなかの成績を修めているらしい。平成17年の春の大会ではベスト16まで進み、国士館高校に敗れたのだが、国士館高校はそのまま東東京大会で優勝。ということで、選抜大会の出場校に選ばれる可能性さえあったのだ。

 そのセオリーや練習方法が興味深い。

 例えば打順。1番は選球眼が良くて出塁率の高い打者、2番はバントが上手くて・・・ではない。1番にはかなり打てる打者、2番には最強打者、3〜6番もできるだけ打てる選手から並べるのだ。

 週1回の全体練習は打撃中心で、守備練習はほとんどしない。しかも、打撃については、バットを短く持って確実にミートするとか、バントの技術を高めるなんてこともしない。三振でも良いから、いかに速く大きく振り切るかを重視するのである。

 一見、野球の常識に反するが、開成高校の青木監督(東大野球部出身)によると、一般的なセオリーは、高いレベルで拮抗したチーム同士の対戦では有効だが、弱いチームが勝つためには、全く意味がないのである。

 その理由は本書を読んでいただくとして、非常に説得力のあるものであった。

 グラウンドでプレーする選手たちへの監督の指示(罵声?)も面白い。

 ピッチャーに向かって、
「一生懸命投げようとするな!」
「甘い球を投げろ!」
「ピッチャーをやるな!」

 小刻みに点を取る打線に対して
「これじゃまるで強いチームじゃないか!」(←喜んでいるのではなく怒っている)

 さらには、
「こんな状況で緊張していたら世の中渡っていけない!」
「普通の人間生活を送れ!」(野球を辞めろ!の意ではない)

 破天荒に聞こえるが、もちろん真っ当な理由がある。青木監督の指導は、経験や勘、古い間違った理論に囚われない論理的なものであり、頭は良くても野球の才能や練習環境で強豪校に劣る開成高校にとって合理的なものなのだ。

 あちらこちらで挿入される選手(生徒)たちへのインタビューも面白い。彼らは皆、非常に論理的である。その頭の良さは、ガリ勉に由来するものではないことがよく分かる。ただ、論理に縛られ過ぎる面もあるように思われる。つい笑ってしまったりするのだが、「自分の頭で考えて判断する」ことは大切である。

 これからは夏の予選や秋季大会のたびに開成高校に注目しそうである。ドラマ化されるらしいが、ちょっと観てみたい。

〔評価〕★★★★☆


 次は『風神秘抄(上・下)』(荻原規子・著/徳間文庫)。


posted by ふくちゃん at 19:29| Comment(0) | TrackBack(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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