2014年03月31日

風神秘抄(上・下)

 

・上巻内容紹介
平安末期、源氏方の16歳の武者、草十郎(そうじゅうろう)は、野山でひとり笛を吹くことが好きな、孤独な若者だった。源氏の御曹司・義平を将として慕い、平治の乱でともに戦ったのもつかのま、義平の無残な死に絶望する草十郎。だが、義平のために魂鎮めの舞を舞う少女、糸世(いとせ)と出会い、彼女の舞に合わせて笛を吹くと、その場に不思議な力が生じ・・・? 特異な芸能の力を持つ2人の波乱万丈の恋を描く、荻原規子の話題作、初の文庫化。

・下巻内容紹介
互いに惹かれあう天性の舞姫・糸世と笛の名手・草十郎。二人が生み出す不思議な〈力〉に気づいた上皇は、自分のために舞い、笛を奏でよと命ずる。だが糸世は、その舞台から神隠しのように消えた・・・。糸世を追い求め、〈鳥の王〉の助けを得て旅を続けた草十郎はやがて・・・? 小学館児童出版文化賞、産経児童出版文化賞JR賞、日本児童文学者協会賞、IBBYオナーリスト文学作品部門賞の4賞を受賞した話題作、初の文庫化!


 RDGシリーズも良かったが、やはりこの著者の本領は勾玉3部作のような歴史(あるいは神話)ファンタジーにあるように思う。

 この作品は、勾玉3部作の流れを汲む物語。「鳥彦」王という烏が主人公2人と同等の存在として登場するのだ。

 もっとも勾玉3部作を読んでいなくても、今作を読むのに何の支障もない。

 ついでに言うと、RDGにも喋る烏が登場する(「舞」が重要な役割を果たすという共通点もある)。

 今どきの世間のカラスだけを見ていると忘れそうになるが、八咫烏の神の眷属であり、荻原氏の作品では重要なモチーフなのだろう。

 終盤までは非常に楽しく、早く結末を知りたくて、わくわくしながら読んだ。ただ、結末はやや物足りない気がした。

 そう感じた原因は、最後には平氏と源氏の争いなどの背景となる歴史から離れてしまい、草十郎と糸世の2人だけの話に収斂してしまったところにあるのだろう。

 もともと2人の話なのだから、そんな不満を感じるのはお門違いなのだろうが・・・。

 魅力的な脇役が途中で消えてしまったり、充分に活躍していなかったりするのも勿体ない。少年・頼朝にも、もとは宮中にいたらしい盗賊・正蔵にも、もっと会いたかった。

 とはいえ、高水準のファンタジーではあることに疑いの余地はない。

 あとがきにあるように、今後も歴史ファンタジーをいろいろ書いていただきたい。

〔評価〕★★★☆☆


 次は、『真鍮のむし 永見緋太郎の事件簿』(田中啓文・著/創元推理文庫)


posted by ふくちゃん at 19:37| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジー・幻想文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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