2014年07月11日

楽園のカンヴァス




・内容(「BOOK」データベースより)
ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンはある日スイスの大邸宅に招かれる。そこで見たのは巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵。持ち主は正しく真贋判定した者にこの絵を譲ると告げ、手がかりとなる謎の古書を読ませる。リミットは7日間。ライバルは日本人研究者・早川織絵。ルソーとピカソ、2人の天才がカンヴァスに篭めた想いとは−。山本周五郎賞受賞作。


 美術には全く詳しくない。成績も悪かったし。

 しかし、北森鴻氏の手になる美術をモチーフにしたミステリ群は面白い。漫画の『ギャラリーフェイク』も腰を据えて読んだことはないが、時折目にしていたた(アニメも含めて)。

 不確かさやある種のいかがわしさも込みで、美術の奥深さや浪漫に惹かれるものはある。


 さて、本作。

 ニューヨーク近代美術館のアシスタント・キュレーターであるティム・ブラウンと新進の若手研究者・早川織絵。1983年のスイス・バーゼルを舞台に世界最高峰のアンリ・ルソーの専門家2人が、かの画家の幻の作品の取扱い権利(ハンドリングライト)を賭けて挑む、真贋判定を含む講評対決。

 そして、その鍵を握る1908年のパリに生きるアンリ・ルソーやピカソを活写する謎の物語『夢をみた』。

 果たして、『夢をみた』は真実なのか、創作なのか。

 幻の作品『夢をみた』は、アンリ・ルソーの真筆なのか。

 完全に秘密裡に行われているはずの講評対決なのに、『夢をみた』を入手すべくティムに接触してくる様々な人物たち。

 どのように収束するのか、楽しく読んだ。

 ・・・が、結局のところ、曖昧に終わる。美術ミステリという触れ込みではあるが、ミステリとしては弱いかな。

 そして、序盤と終盤に置かれた現在(2000年)の織絵の物語が、とってつけてようだ。自信満々で颯爽としていた彼女が、なぜ研究の第一線から退き、何かに怯えるように周囲と壁を築いて地味にシングル・マザーとして暮らしているのか。

 そこもしっかりと描いて欲しかった気がする。

〔評価〕★★★☆☆


 次は『東京プリズン』(赤坂真理・著/河出文庫)。


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posted by ふくちゃん at 19:52| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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