・内容(「BOOK」データベースより)
人生には、忘れたくても忘れられない、大切な記憶を呼び起こす映画がある。青春を共にし、別々の道を歩んだ友人。謎の死を遂げた夫。守りたいと初めて思った女性・・・。「太陽がいっぱい」「愛の泉」など名作映画をモチーフに、不器用ゆえ傷ついた人々が悲しみや孤独を分かち合う姿を描く5篇を収録。
新潮文庫の新刊だと思って買って読み始めたら、口絵のイラストに見覚えが。集英社文庫からレーベル移転だった。
まあいいかと思い、最後まで読む。
一篇一篇はやや作為的に過ぎて、鼻白むところもある。確信犯的に狙っているような気もするが。
最初の4篇はどれも独立した物語だが、町の区民会館での『ローマの休日』上映会のエピソードがさらりと登場する。
そして、最後の『愛の泉』はその上映会がいかにして催されることになったのかを描く、ある家族の物語である。
この出来が良いので、全体としても救われる感じ。
ちなみに、もう忘れていたが、前回の感想(2010年7月11日)も同じようなものだった。
〔評価〕★★★☆☆
次は、『天の梯 みをつくし料理帖』(高田郁・著/ハルキ文庫)。
【関連する記事】