2014年10月07日

サラの柔らかな香車




・内容(「BOOK」データベースより)
プロ棋士になる夢に破れた瀬尾は、毎日公園に1人でいる金髪碧眼の少女サラに出会う。言葉のやりとりが不自由な彼女に対し、瀬尾は将棋を教え込む。すると、彼女は盤上に映る“景色”を見る能力を開花させ−。棋界に新たな風を送るサラ、将棋に人生を捧げてきたスター・塔子、数多の輝く才能を持つ七海の3人を巡り、厳しくも豊かな勝負の世界を描く青春長編。第24回小説すばる新人賞受賞作。


 物語は、金髪碧眼のブラジル日系人の美少女・サラが将棋の女流名人戦に挑むシーンから始まる。

 そして、棋士になれなかった元・奨励会会員の将棋専門誌記者・橋元の連載予定の記事によって、天才女流棋士サラ − 言語・会話を介した通常のコミュニケーション能力に欠け、天才が集う世界にあってもその常識を超えた悪手・妙手を繰り出す彼女の来歴を、我々読者は知っていく。

 同時にその記事によって、彼女を取り巻く他の登場人物たちの将棋に賭ける(賭けた)青春と挫折と希望が描かれる。

 偶然サラを見出し、将棋を教えた元・奨励会会員でパチプロの瀬尾。

 サラの対戦相手で、かつては瀬尾と恋仲にあった女流名人の塔子。

 塔子にあこがれて将棋を始め、一躍スター候補となったものの、小学校時代にサラと対戦して敗れた、もう1人の天才少女・七海。

 七海の師匠であり、現在の塔子の恋人でもある若手棋士の施川。
 
 将棋を知らなくても、普遍的な青春小説として楽しめる作品だと思うが、やはり多少は将棋を知っていた方が良いだろう。

 僕も子どもの頃は、ほんの少しだけ、将棋を齧った。才能のかけらもないことは子ども心にも明白だったが・・・。だから、将棋にせよ、囲碁にせよ、棋士といえば、とてつもなく頭の良い、直観力に優れた人という思いがある。

 橋元の記事という体裁が必要だったのか、そもそも記事とはいい難い(それこそ小説としか言えないような)表現はどうなのか、冒頭のプロローグ(前哨戦)は無駄ではないのかという気はする。

 しかし、サラの内面を見てみたい。塔子や七海との今後も読んでみたい。

 このデビュー作から2年、ようやく第二長編として続編『サラは銀の涙を探しに』が刊行された。

 文庫化を楽しみに待つ。

〔評価〕★★★★☆


 次は、『あした 慶次郎縁側日記』(北原亞以子・著/新潮文庫)。


posted by ふくちゃん at 21:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 青春小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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