2015年12月07日

ノックス・マシン




・内容(「BOOK」データベースより)
2058年4月、上海大学で20世紀の探偵小説を研究していたユアン・チンルウは、国家科学技術局から呼び出される。博士論文のテーマ「ノックスの十戒」第5項が、史上初の双方向タイムトラベル成功に重要な役割を担う可能性があるというのだ。その理由を探るべく、実験に参加させられた彼が見たものとは―。表題作「ノックス・マシン」、名探偵の相棒たちが暗躍する「引き立て役倶楽部の陰謀」などを含む中篇集。


 えせミステリー・マニアなので、ノックスの十戒もヴァン・ダインの二十則も、この作品を読むまでちゃんと知らなかった。

 ミステリ勃興期へのオマージュと薀蓄に溢れたSF作品。法月綸太郎といえば、ミステリ作家。でも、こんなSFも書けるんだな。さすが京大卒。

 SFパートは難しくて理解できないところもあるけど、こんな小説を書く発想が素晴らしいし、アガサ・クリスティやエラリー・クイーン等々、古典(黄金期)ミステリを激しく読みたくなること、請け合い。

 でも、多分、読まないけど(笑)。

〔評価〕★★★☆☆


 次は、『なごり歌』(朱川湊人・著/新潮文庫)。
posted by ふくちゃん at 20:41| Comment(0) | TrackBack(0) | SF | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月08日

みずは無間




・内容(「BOOK」データベースより)
無人宇宙探査機の人工知能には、科学者・雨野透の人格が転写されていた。夢とも記憶ともつかぬ透の意識に繰り返し現われるのは、地球に残した恋人みずはの姿。法事で帰省する透を責めるみずは、就活の失敗を正当化しようとするみずは、リバウンドを繰り返すみずは…無益で切実な回想とともに悠久の銀河を彷徨う透がみずはから逃れるため取った選択とは?選考委員満場一致の、第1回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作。


 主人公は一流ではない普通の科学者・雨野透のAI人格。

 特別なミッションもなく、彼のAI人格を載せた無人探査機は宇宙を漂う。地球に残してきた恋人みずはのことを思い出しながら・・・。

 このみずはがなかなかウザい、というか、重い。雨野にべったり依存している。彼女の中に巣くう、深い飢餓感・・・。

 AI雨野は彼女のことをできるだけ思い出さないようにしているが、それでも彼女の言葉、表情がふと蘇る。

 地球と通信もできず、退屈を紛らわせるため、みずはを思い出さないため、疑似生命体づくりに熱中し、やがてDと名付けた彼らを宇宙にリリースする。

 その次は、自分をコピーして分割し、宇宙にばらまく。

 AI雨野のこの行為が物語を展開するキーになる。

 様々な形態・イデオロギーを持つ、様々な分派に成長したDとの邂逅。これがなかなか哲学的で読ませる上、意外にもスペクタクル。

 地球にいる本物の雨野、みずはの運命は・・・?

 哀しい衝撃が訪れる。

 ただ、ラストはちょっと不満が残るな〜。とはいえ、他に処理の仕方が無いかも。

〔評価〕★★★☆☆


 次は、『弓張ノ月 居眠り磐音 江戸双紙 46』(佐伯泰英・著/双葉文庫)。
posted by ふくちゃん at 14:46| Comment(0) | TrackBack(0) | SF | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月06日

彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone?




・内容(「BOOK」データベースより)
ウォーカロン。「単独歩行者」と呼ばれる、人工細胞で作られた生命体。人間との差はほとんどなく、容易に違いは識別できない。研究者のハギリは、何者かに命を狙われた。心当たりはなかった。彼を保護しに来たウグイによると、ウォーカロンと人間を識別するためのハギリの研究成果が襲撃理由ではないかとのことだが。人間性とは命とは何か問いかける、知性が予見する未来の物語。


 まさか、ここに来て新シリーズとは。

 引退宣言の際、引退までの執筆・刊行予定を告知していたが、その中にこのシリーズがあったかどうか、記憶が定かではない。

 もちろん、予定は変わることがある。

 森氏のサイトを確認してみたら、

GシリーズもXシリーズも未完なのに、新しいシリーズの執筆依頼を受けました。GもXもあと少しだったので(「もう少し待ってほしい」と)抵抗したのですが、これまでにない強いプッシュで、編集部の本気度がわかり、引き受けました。(略)とりあえず、10作くらいは続けるつもりで、しばらくは年3作のペースで出ます。

と書いてあった。なるほど。

 Wシリーズと銘打たれた今シリーズ。

 いかにも森氏らしい、クールでドライ、そしてどこか無垢で微笑ましい作品だ。

 人間と見分けがうかないレベルまできたウォーカロン。

 本作に登場するミチルという名の少女。百年シリーズとの関連は?

 そして、やっぱり出てきた、あの人。

 そこに込められた作者の意図と企みは?

 とりあえず、今作の最後には心地よい脱力が待っていた(笑)。

〔評価〕★★★☆☆


 次は、『みずは無間』(六冬和生・著/ハヤカワ文庫)。
posted by ふくちゃん at 21:10| Comment(0) | TrackBack(0) | SF | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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