2010年02月04日

ユダヤ警官同盟


ユダヤ警官同盟 上巻
著者名:マイケル・シェイボン(著)
     黒原敏行(訳)
出版社:新潮社
出版年:2009.04
ISBN :9784102036112



ユダヤ警官同盟 下巻
著者名:マイケル・シェイボン(著)
     黒原敏行(訳)
出版社:新潮社
出版年:2009.04
ISBN :9784102036129


 「このミス(海外編)」&「ミステリが読みたい(海外総合)」、共に3位。そして、下の紹介文にある通り、アメリカの権威あるSF賞=ヒューゴー、ネビュラ、ローカスを総ナメ。だけど、同じく権威あるミステリ賞=エドガー、ハメットは落選。

 いったい、どんな作品なんだ?という興味で購入。


・上巻内容
安ホテルでヤク中が殺された。傍らにチェス盤。後頭部に一発。プロか。時は2007年、アラスカ・シトカ特別区。流浪のユダヤ人が築いたその地は2ヶ月後に米国への返還を控え、警察もやる気がない。だが、酒浸りの日々を送る殺人課刑事ランツマンはチェス盤の謎に興味を引かれ、捜査を開始する − 。ピューリッツァー賞受賞作家による刑事たちのハードボイルド・ワンダーランド、開幕。ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞3冠制覇。
(「BOOK」データベースより)

・下巻内容
マフィアが巣食い、宗教指導者が影響力を揮うシトカの街を、深い傷を負った刑事の魂が彷徨う。殺された若者はチェスの天才だった。神童。奇跡の子。ユダヤ人の間で囁かれる救世主伝説。警察ばかりか、幾多の勢力が事件を葬り去ろうとするなか、相棒ベルコと暴走気味に捜査を続けるランツマンはある事実に気づくが − 。故郷喪失者の挽歌が響くハードボイルド・ミステリ大作、佳境へ。2008年度のヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞というSFの主要3賞を制覇。エドガー賞長篇賞、ハメット賞最終候補。
(「BOOK」データベースより)


 どこがSFかというと、要する歴史改変モノ。

 ユダヤ人が建国したイスラエルはあえなく崩壊し、アメリカ・アラスカ州に用意された特別自治区にその多くが暮らしてきた。だが、今は特別区のアメリカ返還を控え、海外移住する者もいれば、アメリカ永住権を取得しようとする者もいて、警察などの公務もアメリカ人に引き継がれる・・・という状態。ついでに、満州国が存続している(ストーリーには全く関与しない)。

 しかし、ただそういう設定だ・・・というだけで、別に「SFだ!」とは個人的には感じなかった。

 主人公ランツマンは、かつては優秀な刑事。同僚の妻と別れた後はうらぶれて低迷。しかし、特別区返還に備えて、すべての未解決事件を意図的に迷宮入りさせて、治安上、建前は「まっさら」にしてアメリカに引き継げ・・・という上層部の指示に反発して、上司として戻ってきた妻の元、出会った最後の殺人事件の解決に力を注ぐ・・・。

 ランツマンの傷ついた魂、同僚や妻との遣り取り・・・至極真っ当なハードボイルドミステリ。


 次は、『このミステリがすごい!2010年版』(宝島社)。
posted by ふくちゃん at 23:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ハードボイルド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月26日

水上のパッサカリア


水上のパッサカリア
著者名:海野碧(著)
出版社:光文社
出版年:2009.08
ISBN :9784334746308


 パッサカリアとは音楽の一形式らしい。どんな感じか全然知らないが。


・内容
都会を遠く離れた高原の湖畔で、自動車整備士の大道寺勉は、ひと回り近く年下の女・菜津と飼い犬のケイトと、世間から身を隠すように暮らしていた。だが、菜津が不慮の事故死を遂げてから、勉の静かな生活が一変する。かつて勉が関わっていた“グループ”の仲間が現れ、菜津は謀殺されたという…。男女の愛を細やかに綴った、切なく美しい傑作ハードボイルド。
(「BOOK」データベースより)


 「〜そうな。」「〜とやら。」「〜とか。」といった文末表現の多用はハードボイルドとは思えず、脱力。

 「死んだ恋人への限りない愛情が胸を打つ」という帯の言葉にも、作品を読みながら「そうかなぁ・・・」。

 だが、大道寺勉のキャラはなかなか良い。

 かつての裏稼業は、「始末屋」。

 万事に用意周到で、数字に正確で(“菜津は5ヶ月と19日前の午前11時13分に・・・”とか)、周囲の状況を常に細かく検分・把握する。

 菜津以外は、裏稼業の仲間を含めて一切の人間を信用しない。

 一級自動車整備士の資格を持ち、表面上は社会の一員として平凡に暮らすが、格闘と家宅侵入の腕前は一流。

 話のスケールが意外に小さいのが残念だ。

 表向きは実業家、裏では闇の世界を牛耳る大立者・服部と対決・・・と思ったら、え?これで終わり?みたいな。大道寺が服部を押さえ込む手立ては、鮮やかだけど、鮮やか過ぎて拍子抜けなのだ。

 違和感のあった「死んだ恋人への限りない愛情」は最後で腑には落ちたが。

 シリーズ続刊があるようなので、文庫が出たら一応は読もう。


 次は、『赤い指』(東野圭吾・著/講談社文庫)。
posted by ふくちゃん at 23:29| Comment(0) | TrackBack(0) | ハードボイルド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月06日

さよなら、愛しい人


さよなら、愛しい人
著者名:レイモンド・チャンドラー(著)
     村上春樹(訳)
出版社:早川書房
出版年:2009.04
ISBN :9784152090232


 村上春樹氏待望の新作長編『1Q84』は、5月29日発売。で、その村上氏が贈る新訳『さらば愛しき女よ』である。

 ちなみに『長いお別れ』もそうだったが、『さらば愛しき女よ』も未読の半端モンである、僕は。しかし、その分、妙な思い入れがなく、フラットな感覚で読めるかも。


・内容
刑務所から出所したばかりの大男、へら鹿(ムース)マロイは、八年前に別れた恋人ヴェルマを探しに黒人街の酒場にやってきた。しかし、そこで激情に駆られ殺人を犯してしまう。偶然、現場に居合わせた私立探偵フィリップ・マーロウは、行方をくらましたマロイと女を探して紫煙たちこめる夜の酒場をさまよう。狂おしいほど一途な愛を待ち受ける哀しい結末とは?読書界に旋風を巻き起こした『ロング・グッドバイ』につづき、チャンドラーの代表作『さらば愛しき女よ』を村上春樹が新訳した話題作。
(「BOOK」データベースより)


 村上氏があとがきで書いているように、『ロング・グッドバイ』のフィリップ・マーロウに比べると、本作の彼はなんだか若い。僕としては、こちらのマーロウの方が好きだ。もっと年を取ってから読むとまた違うかも知れないが。

 で、帯にも書かれるぐらいだから、ムース・マロイの一途な愛が感動のポイントなのかも知れないが、そこには特に感心しなかった。

 それよりは、マーロウをはじめ、男性キャラクター陣の描写や会話に生彩があり、そこがなかなかに魅力的であった(女性陣はこれも村上氏指摘の通り、やや平板)。

 それにしても、探偵としてのマーロウはタフではあるかもしれないが、優秀と言えるのかな?わりに女にだらしないし(笑)。


 次は、『銀河英雄伝説外伝4 螺旋迷宮』(田中芳樹・著/創元SF文庫)。
posted by ふくちゃん at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ハードボイルド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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