2015年12月13日

なごり歌




・内容(「BOOK」データベースより)
昭和48年、小学校3年生の裕樹は県境に建つ虹ヶ本団地に越してきた。一人ぼっちの夏休みを持て余していたが、同じ歳のケンジと仲良くなる「遠くの友だち」。あなたの奥さまは私の妻なんです−。お見合い9回の末やっと結婚にこぎつけた仁志が突然現れた男にそう告げられる「秋に来た男」。あのころ、巨大団地は未来と希望の象徴だった。切なさと懐かしさが止まらない、連作短編集。


 昭和40年代。団地。

 まさに、自分世代のどストライクの舞台設定。でも、僕が中学生の頃には、もう団地よりも一戸建ての方が“夢”の象徴だったなぁ。

 巨大な団地を舞台にした連作短篇。

 どの話も少しずつ不思議で物哀しい、ノスタルジックな世界。

 ひょっとして、川辺さんはこの世の人ではないんじゃないか・・・と思ってたら・・・連作短篇の最後は、意外な展開。

 最後にこんな重い話は・・・と思っていたが、読後感はさすが。

〔評価〕★★★★☆


 次は、『教場』(長岡弘樹・著/小学館文庫)
ラベル:長岡弘樹 教場
posted by ふくちゃん at 19:03| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジー・幻想文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月11日

太陽の石




・内容(「BOOK」データベースより)
コンスル帝国の最北西の村に住むデイスは16歳、村の外に捨てられていたところを拾われ、両親と姉に慈しまれて育った。ある日彼は土の中に半分埋まった肩留めを拾う。“太陽の石”と呼ばれる鮮緑の宝石。これは自分に属するものだ、一目でデイスは悟る。だが、それが眠れる魔道師を目覚めさせることに。デビュー作『夜の写本師』で読書界に旋風を起こした著者のシリーズ第3弾。


 『オーリエラントの魔道師』シリーズの第3弾。8月12日に文庫本が発売されていたのに、見逃していた。

 続編の文庫化も待ち遠しいが、著者の頭の中ではオーリエラントの世界はどこまで構築されているのだろうか。それとも発想の赴くまま書き連ねているのであろうか。

 1作1作、登場する魔道師たちの操る魔法が多彩であり、また安っぽくないので、とても楽しい。

 いくつか、ここはかなり力を入れて書いたのだろうな・・・と勝手に想像したくなる、濃密で美しい文章がある。

 その文章が紡ぎ出そうとするイメージ、著者の眼に見えているであろうものに、自分の想像力が追い付かないのが悲しいが・・・。

 いずれ愛読者向けの公式ガイド本をぜひ。

〔評価〕★★★★☆


 次は、『ロスジェネの逆襲』(池井戸潤・著/文春文庫)
posted by ふくちゃん at 18:50| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジー・幻想文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月27日

烏に単は似合わない/烏は主を選ばない




・烏に単は似合わない 内容(「BOOK」データベースより)
人間の代わりに「八咫烏」の一族が支配する世界「山内」で、世継ぎである若宮の后選びが始まった。朝廷で激しく権力を争う大貴族四家から遣わされた4人の后候補。春夏秋冬を司るかのようにそれぞれ魅力的な姫君たちが、思惑を秘め后の座を競う中、様々な事件が起こり・・・。史上最年少松本清張賞受賞作。

・烏は主を選ばない 内容(「BOOK」データベースより)
人間の代わりに「八咫烏」の一族が住まう世界「山内」で、優秀な兄宮が廃嫡され、日嗣の御子の座についた若宮。世継ぎの后選びには大貴族の勢力争いが絡み、朝廷は一触即発の異常事態に陥る。そんな状況下で、若宮に仕えることになった少年・雪哉は、御身を狙う陰謀に孤立無援の宮廷で巻き込まれていく・・・。


 『烏に単は似合わない』は、著者・阿部智里氏のデビュー作であり、松本清張賞受賞作。

 裏表紙の紹介文などを読む限り、ファンタジーなのに、なぜに松本清張賞?

 読み始めても、その疑問は解けなかった。

 最後に意外な展開になるまでは。

 この作品はファンタジーでありながら、確かに、作中で殺された女性の死の真相を巡るミステリでもあったのだ。

 本格ミステリと呼ぶには、フェアネスに疑問符がつくが・・・。

 しかし、まさかこの女性がこんな女性だったとは・・・という意外性には、インパクトがあった。

 舞台設定と次代の王(若宮)の后候補の4人のさや当て、そして終盤の良い意味での裏切りは、充分楽しめた。

 茫然とさせられるような後味の悪さと甘さの何とも言えぬブレンドぐあいも良い。


 シリーズ第2弾にあたる『烏は主を選ばない』は、『烏に単は似合わない』と同じ時間軸の物語を若宮の側から描いた作品。

 なぜ、本来なら主役級でもおかしくないキャラクターである若宮が、『烏に単は似合わない』にはほとんど登場しなかったのか、裏側で進んでいたもうひとつのストーリーが明らかになる。

 『烏に単』と『烏は主』は、2つで1つの作品だったのだ。

 『主』も、終盤の意外性という点では『単』に負けていない。うつけと評される若宮の変人ぶり(理由がある)、望まぬままに最側近の近習となった、ぼんくらと評される雪哉の遣り取りも楽しい。

 アマゾンレビューでは2作ともイマイチの評価だが、僕は気に入った。

 腑に落ちないのは、登場人物が八咫烏の化身である必要があるのかという点である。

 舞台設定の根幹が腑に落ちないというのも困ったものだが(笑)。

 物語の中心を担う、この世界の貴族たちは烏の姿にならない。烏の姿に変化するのは、下々の者だけである。なので、余計に彼らが本当は人間ではなく、八咫烏が人形(ヒトガタ)を取っているだけという設定の必然性が分からない。

 まあ、面白いからいいけど。

〔評価〕★★★★☆


 次は、『ジャイロスコープ』(伊坂幸太郎・著/新潮文庫)。
posted by ふくちゃん at 21:28| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジー・幻想文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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