2014年01月14日

下町ロケット




・内容紹介
研究者の道をあきらめ、家業の町工場・佃製作所を継いだ佃航平は、製品開発で業績を伸ばしていた。そんなある日、商売敵の大手メーカーから理不尽な特許侵害で訴えられる。圧倒的な形勢不利の中で取引先を失い、資金繰りに窮する佃製作所。創業以来のピンチに、国産ロケットを開発する巨大企業・帝国重工が、佃製作所が有するある部品の特許技術に食指を伸ばしてきた。特許を売れば窮地を脱することができる。だが、その技術には、佃の夢が詰まっていた−。男たちの矜恃が激突する感動のエンターテインメント長編!第145回直木賞受賞作。


以前も書いたが、雑食主義の僕も企業小説だけは基本的に読まない。読書の時ぐらいは、企業勤めとは関係ない世界にいたいのだ。

でも、『半沢直樹』シリーズ(『おれバブ』シリーズ)は面白かったし、『下町ロケット』は直木賞受賞作で、池井戸潤氏の代表作でもあるから、読んでみた。

さすがになかなか面白い。

ただ、『半沢直樹』に比べると、主人公に襲い掛かる苦難も悪役(敵役)もかなりマイルドである。

それだけ『半沢』よりも現実味があると言えるかもしれないし、長所と言うべきなのかもしれないが、カタルシスは弱まる。

『半沢』を読んでしまった後では、やや物足りない。

僕が気に入ったキャラクターは、銀行からの出向者で経理・財務を担当する殿村。四角四面で、多分銀行の方ばかり向いていて、中小企業などには愛情や理解などないだろうと思いきや・・・である。

帝国重工の財前もなかなかいい。

最初はいい印象を持てない感じで登場しながら、実は・・・というキャラは得だな。

〔評価〕★★★★☆


次は、『心に吹く風 髪結い伊三次捕物余話』(宇江佐真理・著/文春文庫)


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2014年01月11日

ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント




・内容(「BOOK」データベースより)
ハルザキカナタは、地球防衛隊の研修隊員。5年前、父の乗る宇宙船は謎の飛行物体から攻撃を受け、消息を絶った。以来、母は心の病が癒えないままだ。カナタの願いは、ウルトラマンも含め、すべての異星人を地球から追い出すこと。だが、防衛隊にはウルトラマンメビウスでもあるヒビノ隊員が所属していた−。直木賞作家が紡ぐもう一つの「ウルトラ」ワールド!


 1月3日の新大阪駅のキヨスクで購入。駅構内の小さな書店って、僕の好みに照らすとラインナップに難があって、買いたい文庫本がほとんどいつもない。

 この『ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント』も刊行時に別の書店で目にしていたが(ほぼ毎日書店に行くので)、キヨスクでなかったら手に取らなかっただろう。他に買ってもいいと思う本が全くなかったのだ。

 それでも好きな作家である朱川湊人氏の作品でなかったら−ウルトラマンは大好きだが−、やっぱり買わなかったと思うが。

 有楽町駅沿線の火災の影響により約1時間遅れで発車したのぞみ号の中で、新大阪駅で最近よく買う松阪牛焼肉Mの中之島ビーフサンド(松阪牛)を食べながら読み始め(同じ店のハンバーグサンドもいいが)、家にたどり着くまでひたすら読んだ。

 少年の頃、ウルトラマンに夢中になり、今もそれを忘れない大人向きの作品。

 ウルトラマンの素晴らしさは、映像で見てこそ・・・だとは思うが、この小説には単なる勧善懲悪のヒーロー物語ではないウルトラマンらしさに溢れている。

 ちょっと物悲しいような、郷愁はなんだろう。

〔評価〕★★★☆☆


 次は、『下町ロケット』(池井戸潤・著/小学館文庫)。
posted by ふくちゃん at 16:16| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月11日

マリアビートル




・内容(裏表紙より)
幼い息子の仇討を企てる、酒びたりの元殺し屋「木村」。優等生面の裏に悪魔のような心を隠し持つ中学生「王子」。闇社会の大物から密命を受けた、腕利きの二人組「蜜柑」と「檸檬」。とにかく運が悪く、気弱な殺し屋「天道虫」。疾走する東北新幹線の車内で、狙う者と狙われる者が交錯する−。小説は、ついにここまでやってきた。映画やマンガ、あらゆるジャンルのエンターテインメントを追い抜く、娯楽小説の到達点!


 やはり殺し屋たちの世界を描いた『グラスホッパー』の続編。

 だが、直接的な繋がりは強くないので、独立して読むこともできる。だが、絶妙な繋がりぐあいではあるので、できれば前作は読んでおきたい。

 と、途中で思って、兵庫県の自宅の本棚を漁ったが、置いてなかった。

 このブログに書いた『グラスホッパー』の自分の感想を検索してみたら、「嫌味なほどに上手い(笑)。かなり面白い。でも、何も残らない(笑)」とある。

 だから、手元に残さなかったのだ。

 ということで、書店で『グラスホッパー』をざっと立ち読みして、こちらに戻る。

 名前だけの登場ではなく、前作に引き続いて実際に姿を見せるのは、「押し屋」(道路付近で絶妙のタイミングで、誰にも見咎められることなくターゲットの背中を押し、通行中の車に轢かせるなどして殺す。車は仕込ではない)を生業とする殺し屋・槿(あさがお)、前作で妻を殺された塾講師(一般人)・鈴木、毒殺専門の殺し屋・スズメバチのみ。しかも、皆、脇役なのだが、その配置がこれまた絶妙である。

 そして、今作の主役を張る殺し屋たちも、多彩で個性的で、彼らの行動・会話を追いかけて楽しみながら、巧みなストーリーテリングに引き回される。

 王子慧は殺し屋ではなく、容姿と頭脳に恵まれた中学生である。しかし、その内実は、他者への共感能力は欠如したサイコパスである。王子に幼い息子を意識不明の重体にされた元・殺し屋の木村は、王子が東北新幹線で一人で乗ることを突き止め、銃を手に復讐のため同じ新幹線に乗り込むが、実は王子にそのように誘導されたに過ぎない。王子の目的は、木村を嬲って楽しむことにあり、木村はその罠に落ちる。王子にとって、他人は自己のコントロール下に置いて、使役したり、苛んだりするためだけの存在である。

 この作品に登場する殺し屋たちは、ゴルゴ13のような「いかにも!」という人間ではなく、普通の人間と変わらない顔を持ち、親しみを感じたり、共感したりさえできる。

 だが、一般人であるはずの王子に共感できる読者は、そうそういないだろう。王子という「悪」が、どういう結末を迎えるか。その展開にも「やられた!」という驚きと爽快感がある。

 でも、この本も手元に残すことはないかな(笑)。極上のエンタメには違いない。

〔評価〕★★★★☆


 次は『グランド・ミステリー』(奥泉光・著/角川文庫)。
posted by ふくちゃん at 15:12| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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