2015年04月02日

音楽の進化史




・内容(「BOOK」データベースより)
音楽はなぜ誕生し、どのようにより豊かで多様なものへと変化したのか?楽器や楽譜、音階や和音の発明など、作曲家である著者が、旧石器時代から現代に至る4万年の音楽史を一望する決定版!


 久しぶりに小説以外の本。

 48歳を目前に趣味のギター弾きを復活させてから、いったい誰が和音(コード)を発明したのか、気になっていた。

 アコースティック・ギターというのは、本当に不思議で偉大な楽器である。ただコード(和音)をボローンと弾いて歌うだけでも、ある程度様になる。そんな楽器は他にない。

 コードの発明者は、ピタゴラス・・・という説もあるらしい。

 この本を読んでも、誰が発明したのか、最初に音を重ねことを思いついた人物は、特定されていないかった。

 とにかく、1200〜1350年には、複数の音を重ねて使うことは行われていた。1400年には、イギリスの作曲家ジョン・ダンスタブルが、オクターブ(1度・8度)、完全4度、完全5度の組み合わせを発見。後に、3度の組み合わせと三和音も発見され、和音進行の概念も生まれる。

 15世紀には、フランスのジョスカン・デ・プレが調(キー)とカデンツ(曲の終わりを予感させる和音進行)を導入。

 17世紀には、ルート音(根音)の移動が導入される。有名な例は、パッヘルベルのカノン進行。日本のヒット曲のほとんどに使われているということで、マキタスポーツがネタにしていたアレである。

 しかし、決まったパターンを好むのは、何もJ-popだけの話ではない。

 17〜18世紀のクラシック音楽でも、パッサカリア(例えばI-IV-V-I)など特定のコード進行が好んで使われたらしい。また、五度圏と呼ばれるコード進行も多用され、1人で何千回も使用する作曲家もいたとのことである。

 18世紀後半には、スリーコードでの作曲が流行(ロックはまだ誕生していない。クラシックの話である)。

 19世紀には、土着の民俗音楽からのメロディー拝借も盛んだった。

 つまり、ワンパターンとか、パクリというものは、西洋クラシック音楽の歴史の中でも、普通に、当たり前に行われてきたことであり、恥ずかしいことでもなんでもないことだったのだ。

 自作メロディーの使いまわしも普通のことだったらしい。

 ちなみに、この本には書いていないが、アメリカの初期のフォークソングでは、黒人霊歌からのメロディー借用が堂々と行われていたらしい(“悪いこと”とはされてない)。

 この本の大部分は、西洋クラシック音楽に関する話だが、そこから派生してきたジャズやロックロールにも触れている。クラシックとジャズ、ロック、ポップスは親戚関係なのである。

 コードをかき鳴らすだけのバッキング用楽器だったエレキギターで初めてメロディーを弾き、チョーキングを発明し、リード楽器にしたのは、1939年のチャーリー・クリスチャンという人の演奏だと、この本で初めて知った(Wikiによると、ベニー・グッドマン楽団のジャズ・ギタリストで、ジャズ・ギターの開祖と言われる)。

 現役の音楽である著者は、東洋音楽にも敬意を払い、西洋音楽の優位性を主張しているわけではない。音楽は世界で同時発生的に起こり、進化し、相互に影響を与えていたのだろう。

 音楽をやっている人(と言っても、私は素人に毛が生えた程度)なら、クラシックに詳しくない人(私だ)でも、楽しめる1冊だと思う。高いけど。

〔評価〕★★★★☆


 次は、『スカル・ブレーカ』(森博嗣・著/中公文庫)。
posted by ふくちゃん at 20:36| Comment(0) | TrackBack(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月19日

「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー




・内容(「BOOK」データベースより)
甲子園も夢じゃない!?平成17年夏、東大合格者数日本一で有名な開成高校の野球部が、東東京予選ベスト16に勝ち進んだ。グラウンドでの練習は週1日、エラーでも空振りでもかまわない、勝負にこだわりドサクサに紛れて勝つ・・・。監督の独創的なセオリーと、下手を自覚しながら生真面目に野球に取り組む選手たちの日々。思わず爆笑、読んで納得の傑作ノンフィクション!


 久しぶりのノンフィクション。数ページ立ち読みしてみたら面白かったので。

 開成高校といえば、あの開成高校である。東大進学者数トップを誇る、あの。

 そんな開成高校の野球部が東東京大会予選で、なかなかの成績を修めているらしい。平成17年の春の大会ではベスト16まで進み、国士館高校に敗れたのだが、国士館高校はそのまま東東京大会で優勝。ということで、選抜大会の出場校に選ばれる可能性さえあったのだ。

 そのセオリーや練習方法が興味深い。

 例えば打順。1番は選球眼が良くて出塁率の高い打者、2番はバントが上手くて・・・ではない。1番にはかなり打てる打者、2番には最強打者、3〜6番もできるだけ打てる選手から並べるのだ。

 週1回の全体練習は打撃中心で、守備練習はほとんどしない。しかも、打撃については、バットを短く持って確実にミートするとか、バントの技術を高めるなんてこともしない。三振でも良いから、いかに速く大きく振り切るかを重視するのである。

 一見、野球の常識に反するが、開成高校の青木監督(東大野球部出身)によると、一般的なセオリーは、高いレベルで拮抗したチーム同士の対戦では有効だが、弱いチームが勝つためには、全く意味がないのである。

 その理由は本書を読んでいただくとして、非常に説得力のあるものであった。

 グラウンドでプレーする選手たちへの監督の指示(罵声?)も面白い。

 ピッチャーに向かって、
「一生懸命投げようとするな!」
「甘い球を投げろ!」
「ピッチャーをやるな!」

 小刻みに点を取る打線に対して
「これじゃまるで強いチームじゃないか!」(←喜んでいるのではなく怒っている)

 さらには、
「こんな状況で緊張していたら世の中渡っていけない!」
「普通の人間生活を送れ!」(野球を辞めろ!の意ではない)

 破天荒に聞こえるが、もちろん真っ当な理由がある。青木監督の指導は、経験や勘、古い間違った理論に囚われない論理的なものであり、頭は良くても野球の才能や練習環境で強豪校に劣る開成高校にとって合理的なものなのだ。

 あちらこちらで挿入される選手(生徒)たちへのインタビューも面白い。彼らは皆、非常に論理的である。その頭の良さは、ガリ勉に由来するものではないことがよく分かる。ただ、論理に縛られ過ぎる面もあるように思われる。つい笑ってしまったりするのだが、「自分の頭で考えて判断する」ことは大切である。

 これからは夏の予選や秋季大会のたびに開成高校に注目しそうである。ドラマ化されるらしいが、ちょっと観てみたい。

〔評価〕★★★★☆


 次は『風神秘抄(上・下)』(荻原規子・著/徳間文庫)。
posted by ふくちゃん at 19:29| Comment(0) | TrackBack(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月20日

銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎(上・下)

 


 久々のノンフィクション。

 親本に当たる邦訳単行本は、2000年刊行。2010年4月には、2000年から2009年の10年間に出版された本を対象に、朝日新聞が選出した“ゼロ年代の50冊”第1位。そのときから興味のあった本が、12年を経て文庫化ということで、早速購入してみた。


・上巻内容(「BOOK」データベースより)
アメリカ大陸の先住民はなぜ、旧大陸の住民に征服されたのか。なぜ、その逆は起こらなかったのか。現在の世界に広がる富とパワーの「地域格差」を生み出したものとは。1万3000年にわたる人類史のダイナミズムに隠された壮大な謎を、進化生物学、生物地理学、文化人類学、言語学など、広範な最新知見を縦横に駆使して解き明かす。ピュリッツァー賞、国際コスモス賞、朝日新聞「ゼロ年代の50冊」第1位を受賞した名著、待望の文庫化。

・下巻内容(「BOOK」データベースより)
世界史の勢力地図は、侵略と淘汰が繰り返されるなかで幾度となく塗り替えられてきた。歴史の勝者と敗者を分けた要因とは、銃器や金属器技術の有無、農耕収穫物や家畜の種類、運搬・移動手段の差異、情報を伝達し保持する文字の存在など多岐にわたっている。だが、地域によるその差を生み出した真の要因とは何だったのか?文系・理系の枠を超えて最新の研究成果を編み上げ、まったく新しい人類史・文明史の視点を提示した知的興奮の書。ピュリッツァー賞・コスモス国際賞受賞作。朝日新聞「ゼロ年代の50冊」第1位。


 なぜ、現世人類発祥の地であるアフリカ大陸よりも、ヨーロッパにおいて文明・文化が勃興したのか(ついでに言うと、かつての最先進国の中国をも追い抜いたのはなぜか)。

 なぜ、ヨーロッパの白人たちは、先住民やインカ帝国やアステカ帝国を討ち滅ぼし、アメリカ大陸を征服することができたのか。

 なぜ、世界の発展は、かくも不均衡なのか。

 それは、ヨーロッパの白人が、人種的・民族的に他の人種・民族よりも優秀だったからではない。単なる偶然であり、地理・地勢・気候・生態系(動物・植物)などの環境要因が引き起こしたものでしかない。

 ということを、あらゆる角度から解き明かした書。

 “知的興奮の書”ということであったが、途中でお腹いっぱいになり、最後まで読み通すのに時間がかかってしまった。。。大変な労作だが、同じような論旨が繰り返されるので、飽きる。

〔評価〕★★☆☆☆


 本書を読むのに時間を要している間に、シリーズ物を中心に読みたい小説(文庫本)が、多数出版された。気が急く!

 とりあえず、まずは『バレエ・メカニック』(津原泰水・著/ハヤカワ文庫)。
posted by ふくちゃん at 23:48| Comment(0) | TrackBack(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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