2015年09月13日

ロスジェネの逆襲




・内容(「BOOK」データベースより)
子会社・東京セントラル証券に出向した半沢直樹に、IT企業買収の案件が転がり込んだ。巨額の収益が見込まれたが、親会社・東京中央銀行が卑劣な手段で横取り。社内での立場を失った半沢は、バブル世代に反発する若い部下・森山とともに「倍返し」を狙う。一発逆転はあるのか?大人気シリーズ第3弾!


ドラマ化された過去の2作と比較すると、敵に強さがなく、半沢のピンチ度もそれほどではない。

ドキドキ・ハラハラは控えめであった。

それでも親会社・東京中央銀行が横取りした電脳雑技集団による東京スパイラルの買収に対して、東京スパイラルの買収防衛に協力する半沢がどのように対抗するのか、先が気になって1日で一気読みしてしまった。

次作の方が、敵が厄介そうで、楽しみだ。

〔評価〕★★★☆☆


次は、『ヨハネスブルクの天使たち』(宮内悠介・著/ハヤカワ文庫)。
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2015年09月11日

太陽の石




・内容(「BOOK」データベースより)
コンスル帝国の最北西の村に住むデイスは16歳、村の外に捨てられていたところを拾われ、両親と姉に慈しまれて育った。ある日彼は土の中に半分埋まった肩留めを拾う。“太陽の石”と呼ばれる鮮緑の宝石。これは自分に属するものだ、一目でデイスは悟る。だが、それが眠れる魔道師を目覚めさせることに。デビュー作『夜の写本師』で読書界に旋風を起こした著者のシリーズ第3弾。


 『オーリエラントの魔道師』シリーズの第3弾。8月12日に文庫本が発売されていたのに、見逃していた。

 続編の文庫化も待ち遠しいが、著者の頭の中ではオーリエラントの世界はどこまで構築されているのだろうか。それとも発想の赴くまま書き連ねているのであろうか。

 1作1作、登場する魔道師たちの操る魔法が多彩であり、また安っぽくないので、とても楽しい。

 いくつか、ここはかなり力を入れて書いたのだろうな・・・と勝手に想像したくなる、濃密で美しい文章がある。

 その文章が紡ぎ出そうとするイメージ、著者の眼に見えているであろうものに、自分の想像力が追い付かないのが悲しいが・・・。

 いずれ愛読者向けの公式ガイド本をぜひ。

〔評価〕★★★★☆


 次は、『ロスジェネの逆襲』(池井戸潤・著/文春文庫)
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2015年09月07日

プリズムの瞳




・内容(「BOOK」データベースより)
かつて最先端機種として期待を集めていた人型ロボット“ピイ・シリーズ”。しかし現在では絵を描くだけの無用の存在として各地を放浪していた。恋人との仲に悩む女性、周囲にとけ込めない中年男性、人生を見失った青年 − ピイと出会った人々は、姿だけを同じくする彼らの瞳に何を見るのか。ロボットとの対話を通して揺らぐ人々のこころを柔らかに描く、希望と祈りに満ちた物語。


 “ピイ・シリーズ”とは何とも可愛い名称だが、実はプロフェッショナルの頭文字Pに由来する。

 かつては外科手術等、様々な専門的技能に特化したロボットとして活躍が期待されたシリーズの総称である。

 ところが、人の形を感情を持たぬ道具は人の形ゆえに、人の形を取らぬ道具とは異なり、多くの人間の心に波風を立てる。

 人型ロボットのもうひとつのラインである“フィー・タイプ”は、人間と同じような感情を持ち、人間の感情を解する。それゆえに人に愛され、それゆえにやがて完全に排斥され、今はもういない。

 “ピイ・シリーズ”は専門技能職を外れて、芸術的価値のない絵を描き続けるだけのロボットとしてまだ一部稼働しているが、その存在を憎む多くの人間により、侮蔑され、悪戯され、襲撃され、破壊されていく。

 一方で、“ピイ・シリーズ”を守り続ける人々もいるのだが・・・。

 日本人は鉄腕アトム以来、人型ロボットが大好きだが(僕もそう)、この作品を読んでいると、ペッパーぐらいならともかく、マツコロイドがさらに進化して人間と全く同じ見た目になり、人間と同等かそれ以上の知能・知性を獲得したら(ターミネーターのように)、共存は難しいのではないか、と思えてきた。

 最初は驚き、喜び、もてはやすだろうが、やがては嫌悪するのではなかろうか。

 菅氏の作品を読むと、いつもSFの懐の広さを感じる。

〔評価〕★★★☆☆


 次は『太陽の石』(乾石智子・著/創元推理文庫)。
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2015年09月02日

at Home



・内容(「BOOK」データベースより)
父は泥棒、母は結婚詐欺師。僕はパスポート偽造屋で働いており、弟はゲームの中で世界を救ってばかりいる。一家はそれなりに平和に暮らしていたが、ある日、母が結婚詐欺のターゲットに逆に誘拐されてしまう。犯人に呼び出された父と僕は、偽札が詰まった紙袋を持って母を助けに向かうが−。巧妙な伏線が張り巡らされ、驚きと涙なくしては読めない結末を迎える表題作を始め、現代の家族のかたちを描ききった傑作小説集。


 本多孝好氏の作品はいくつか読んでいるが、達者な人である。

 この作品は未読だったか、映画化されたということで、購入してみた。てっきり長篇かと思っていたが、『at Home』は4つの中篇の1つ。

 わりに突飛な設定で家族という厄介なものを描いた4篇だが、小説ゆえに受け入れられる。

 「こんなことは現実にありえない」と思う人は、小説を読んだり、映画を見たりする必要はない(笑)。現実だけを生きれば良いのだ。

 フィクションの中では(ほぼ)何でも許される。

 この作品もありえないようでいて、こんな家族関係もあるかもなぁ、あってもいいよなぁと思わせる。ほっこり、にんまりである。よく考えると(よく考えなくても)、陰惨なことも描かれているのだが。

 それにしても、この小説に限らず、映画でもそうだが、“涙”“泣ける”という宣伝文句はいかがなものか。いいかげんにしてもらいたい。

〔評価〕★★★☆☆


 次は『プリズムの瞳』(菅浩江・著/創元SF文庫)。
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2015年08月26日

散華ノ刻/木槿ノ賦 居眠り磐音江戸双紙41・42




・散華ノ刻 内容(「BOOK」データベースより)
春風が江戸に桜の季節を告げる頃、坂崎家では豊後関前から父正睦、母照埜を小梅村に迎えて親子三代、賑やかな日々を送っていた。関前藩の物産事業に絡む内紛の始末がつかぬまま、富士見坂の江戸藩邸を訪れた磐音は、藩主福坂実高の正室お代の方の変わり果てた姿を目の当たりにして・・・。春風駘蕩の如き磐音が許せぬ悪を討つ、超人気書き下ろし長編時代小説第41弾。

・木槿ノ賦 内容(「BOOK」データベースより)
天明3年盛夏、隅田川左岸の小梅村で穏やかな暮らしを送る坂崎磐音は、参勤上番で江戸に出府する関前藩主一行を出迎えるため、父正睦とともに六郷土手でその到着を待っていた。旧主福坂実高との再会を果した磐音だったが、随行してきた一人の若武者から思わぬ申し出を受ける。春風駘蕩の如き磐音が許せぬ悪を討つ、超人気書き下ろし長編時代小説第42弾。


 49巻の発売に合わせて、当シリーズが51巻で完結することが発表された。

 ということもあり、例によって買いたい文庫本が一時的に途絶えたこともあり、久々に磐音シリーズを購入。

 完結に備えて、そろそろ追い付いておこうという気持ちもある。

 前作『春霞ノ乱』を読んだのは昨年の6月頃だが、『散華ノ刻』『木槿ノ賦』との豊後関前藩お家騒動三部作であったのだ。

 よく騒動が起きる藩である(笑)。

 だが、シリーズが江戸の市井における浪人剣客の日常から対田沼抗争に移ってからは、いろんな意味で辛かったが(単純に面白くない・・・ということではない)、江戸編に戻ってからは安心して読める。

 ガキんちょだった幸吉が立派な大人になっていたりするのも、長期シリーズの良さかな。10年以上も書き続けるというのは、ともあれ一つ達成だと思う。

〔評価〕★★★☆☆


 次は『at Home』(本多孝好・著/角川文庫)。
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2015年08月17日

さよなら妖精



・内容(「BOOK」データベースより)
1991年4月。雨宿りをするひとりの少女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。遠い国からはるばるおれたちの街にやって来た少女、マーヤ。彼女と過ごす、謎に満ちた日常。そして彼女が帰国した後、おれたちの最大の謎解きが始まる。覗き込んでくる目、カールがかった黒髪、白い首筋、『哲学的意味がありますか?』、そして紫陽花。謎を解く鍵は記憶のなかに−。忘れ難い余韻をもたらす、出会いと祈りの物語。気鋭の新人が贈る清新な力作。


 米澤穂信氏の初期作品。

 最近、この作品の真の探偵役・大刀洗万智が、大人の女性として登場する『王とサーカス』という単行本が出たということで、こちらの作品を読んでみた。

 内戦による崩壊を迎えることになるユーゴスラビアからやって来た少女マーヤ。彼女と偶然知り合った4人の高校生とのわずか2ヵ月の物語。

 ユーゴを構成する6つの共和国。マーヤはなぜ、どの国の出身かを告げずに、去って行ったのか。彼女は無事でいるのか。それがこの作品における「謎」。

 主人公・守屋路行は、記憶と日記を頼りに推理する。その先に待っていた哀しい真実。

 野心的であるけど、ミステリとしてはどうかな〜。

 でも、青春小説としては、とてもいい。

〔評価〕★★★☆☆


 次は、『散華ノ刻 居眠り磐音江戸双紙41』(佐伯泰英・著/双葉文庫)。
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2015年08月14日

三国志 第十巻〜第十二巻



・第十巻 内容(「BOOK」データベースより)
これからの蜀はどうなるのだろうか。国を支えてきた丞相・諸葛亮が薨じ、遺された皇帝・劉禅と群臣は不安に包まれる。魏でも皇帝・曹叡が崩御。後に立った八歳の曹芳を司馬懿と曹爽の二人が輔弼する体制に。片や司馬懿は軍功を重ねて英名を高め、片や曹爽は浮華の者を集め司馬懿を権力から遠ざけ、蜀への遠征を敢行する。

・第十一巻 内容(裏表紙より)
宮城谷三国志、次の時代へ動き出す
晩年の孫権は老耄(ろうぼう)であった。あとつぎを二人立てて争わせ、諫言を呈した良臣を誅した。時代の皇帝は幼く、呉の国政を託された諸葛恪は軍事に着手。一度は魏に大勝するが、続けて無謀な遠征を行う。勝つということは智慧を育てないともいえる。一方、魏では曹爽一派が族滅され、政権の中枢が曹氏から司馬氏へと移ることになった。

・第十三巻 内容(「BOOK」データベースより)
成都に迫る魏軍に、蜀の群臣は揺れる。一戦もせず降伏を決意した劉禅は、柩を背負い、魏の軍門まで歩く。この日をもって、三国時代は畢わった。その翌年、司馬昭は晋王の位を授かる。天下統一はまだ果たされないが、もうすぐその時がくる−正史に基づき、百五十年もの歴史を描いたかつてない三国志、最終巻。



 宮城谷三国志が完結した。

 正史に則り、演義の要素を排除した、宮城谷氏らしい三国志であったと思う。

 物語として、娯楽作品としての読みやすさを追究するよりも、正確性を期する作風は相変わらずで、読みやすいとは決して言えない。

 通常の歴史小説では、分からない点はあっても、著者は自分なりの考え、推測に基づいて断定的に書く。小説だから、史実・事実の隙間の分からない箇所は、フィクションで埋めても良いのである。

 しかし、宮城谷氏はそうしない。分からないことは、分からないと書く。

 不器用なまでの真摯な姿勢である。

 血湧き肉躍る物語ではないが、組織と個人のあり方、権力者のあり方、特に100%の名君でいる、名君であり続けることの難しさを感じさせて、面白い。

 もし、曹操、曹叡、諸葛亮孔明、周瑜のうち誰か一人でももっと長く生きていたら・・・。そんな歴史のifを想像させられて、楽しい。

 蜀が魏に併呑された後のことは簡単にしか触れられていないが、晋が呉を滅ぼし、中国に統一王朝が出来るまでの話ももっと詳しく読みたい。

〔評価〕★★★★☆


 次は『さよなら妖精』(米澤穂信・著/創元推理文庫)。
posted by ふくちゃん at 14:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史・時代小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月08日

何者




・内容紹介
就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから−。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて・・・。直木賞受賞作。


 『桐島、部活やめるってよ』を読んで以来、気になる若手作家であるが、何となく以降の新作を読まずにここまで来た。

 音楽に関しては、40後半を越えてから、20代のミュージシャンの作品に心を動かされることが減ってきた。自分の感受性が摩耗している可能性もあるし、世代ギャップのせいもあるかもしれないが、正直なところ、一部を除いて幼稚で深みのないものに聞こえるのだ。特に詞の世界が。

 ということで、最近の若手アーティストの曲はほぼ聞かない。

 朝井リョウ氏に食指が伸びないのも、同じような理由かも・・・。

 とはいえ、『桐島〜』は結構好きだったから、自分のことながら、的を射ない分析かな。

 さて、おっさん世代から見ると、本作の特徴はツイッターを取り入れていることだろうか。まるで登場人物紹介のように、最初に彼等と彼女達のツイッターのプロフィールがまとめられている。

 作品中にもつぶやきが挟み込まれる。

 若者らしい、自意識過剰な痛い呟きである。

 その甘ちゃんな感じが、読んでいてムカムカする(笑)。

 昔の自分もこんなもんだったのだろう。

 60代の自分から見る、今の自分もそうかも。

 そんなわけで、あまり楽しめず、登場人物の誰にも共感も感情移入もできず、グダグダ感満載の読書だったのだが、最後にガツン!と来た。

 意識高い系に見せるためのツイッター用に装ったものではない、痛切で真っ直ぐで、ある意味で醜い、リアルな感情が初めて飛び出し、他人にぶつけられる瞬間である。

 そこが良かった。

〔評価〕★★★☆☆


 次は、『三国志 第十巻〜第十二巻』(宮城谷昌光・著/文春文庫)。
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2015年08月02日

ジャイロスコープ




・内容(「BOOK」データベースより)
助言あります。スーパーの駐車場にて“相談屋”を営む稲垣さんの下で働くことになった浜田青年。人々のささいな相談事が、驚愕の結末に繋がる「浜田青年ホントスカ」。バスジャック事件の“もし、あの時・・・”を描く「if」。謎の生物が暴れる野心作「ギア」。洒脱な会話、軽快な文体、そして独特のユーモアが詰まった七つの伊坂ワールド。書下ろし短編「後ろの声がうるさい」収録。


 不思議で、上手で、時に意味不明な短篇を集めた作品集。

 読む人の精神の柔軟性を試すようだ。

 よくこんなストーリーを思いつくものだ。

 バラバラに書かれた6つの作品を強引にまとめるラストの書き下ろしもいい。

 小説に対して、常に起承転結やメッセージや文学性を求める人には進められないが・・・。

〔評価〕★★★★☆


 次は、『何者』(朝井リョウ・著/新潮文庫)。
posted by ふくちゃん at 21:28| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月27日

烏に単は似合わない/烏は主を選ばない




・烏に単は似合わない 内容(「BOOK」データベースより)
人間の代わりに「八咫烏」の一族が支配する世界「山内」で、世継ぎである若宮の后選びが始まった。朝廷で激しく権力を争う大貴族四家から遣わされた4人の后候補。春夏秋冬を司るかのようにそれぞれ魅力的な姫君たちが、思惑を秘め后の座を競う中、様々な事件が起こり・・・。史上最年少松本清張賞受賞作。

・烏は主を選ばない 内容(「BOOK」データベースより)
人間の代わりに「八咫烏」の一族が住まう世界「山内」で、優秀な兄宮が廃嫡され、日嗣の御子の座についた若宮。世継ぎの后選びには大貴族の勢力争いが絡み、朝廷は一触即発の異常事態に陥る。そんな状況下で、若宮に仕えることになった少年・雪哉は、御身を狙う陰謀に孤立無援の宮廷で巻き込まれていく・・・。


 『烏に単は似合わない』は、著者・阿部智里氏のデビュー作であり、松本清張賞受賞作。

 裏表紙の紹介文などを読む限り、ファンタジーなのに、なぜに松本清張賞?

 読み始めても、その疑問は解けなかった。

 最後に意外な展開になるまでは。

 この作品はファンタジーでありながら、確かに、作中で殺された女性の死の真相を巡るミステリでもあったのだ。

 本格ミステリと呼ぶには、フェアネスに疑問符がつくが・・・。

 しかし、まさかこの女性がこんな女性だったとは・・・という意外性には、インパクトがあった。

 舞台設定と次代の王(若宮)の后候補の4人のさや当て、そして終盤の良い意味での裏切りは、充分楽しめた。

 茫然とさせられるような後味の悪さと甘さの何とも言えぬブレンドぐあいも良い。


 シリーズ第2弾にあたる『烏は主を選ばない』は、『烏に単は似合わない』と同じ時間軸の物語を若宮の側から描いた作品。

 なぜ、本来なら主役級でもおかしくないキャラクターである若宮が、『烏に単は似合わない』にはほとんど登場しなかったのか、裏側で進んでいたもうひとつのストーリーが明らかになる。

 『烏に単』と『烏は主』は、2つで1つの作品だったのだ。

 『主』も、終盤の意外性という点では『単』に負けていない。うつけと評される若宮の変人ぶり(理由がある)、望まぬままに最側近の近習となった、ぼんくらと評される雪哉の遣り取りも楽しい。

 アマゾンレビューでは2作ともイマイチの評価だが、僕は気に入った。

 腑に落ちないのは、登場人物が八咫烏の化身である必要があるのかという点である。

 舞台設定の根幹が腑に落ちないというのも困ったものだが(笑)。

 物語の中心を担う、この世界の貴族たちは烏の姿にならない。烏の姿に変化するのは、下々の者だけである。なので、余計に彼らが本当は人間ではなく、八咫烏が人形(ヒトガタ)を取っているだけという設定の必然性が分からない。

 まあ、面白いからいいけど。

〔評価〕★★★★☆


 次は、『ジャイロスコープ』(伊坂幸太郎・著/新潮文庫)。
posted by ふくちゃん at 21:28| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジー・幻想文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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