2015年05月04日

一路(上・下)




・上巻内容(「BOOK」データベースより)
失火により父が不慮の死を遂げたため、江戸から西美濃・田名部郡に帰参した小野寺一路。齢19にして初めて訪れた故郷では、小野寺家代々の御役目・参勤道中御供頭を仰せつかる。失火は大罪にして、家督相続は仮の沙汰。差配に不手際があれば、ただちに家名断絶と追い詰められる一路だったが、家伝の「行軍録」を唯一の頼りに、いざ江戸見参の道中へ!

・下巻内容(「BOOK」データベースより)
中山道を江戸へ向かう蒔坂左京大夫一行は、次々と難題に見舞われる。中山道の難所、自然との闘い、行列の道中行き合い、御本陣差し合い、御殿様の発熱…。さらに行列の中では御家乗っ取りの企てもめぐらされ − 。到着が一日でも遅れることは御法度の参勤交代。果たして、一路は無事に江戸までの道中を導くことができるのか!


 浅田次郎氏、初読み。

 どうせ初読みなら、代表作を読むべきかもしれないが・・・。

 どうも、扱っている題材や舞台や時代が、私の好みからずれているのが理由かな。

 今作は江戸時代ということで、参勤交代が題材というのも興味深いので手に取った。

 1か月ほど前に文庫が刊行された『超高速!参勤交代』(映画の脚本家が自ら小説化して公開前に単行本出版)と迷ったが、どうせなら、有名作家の作品を読もうと。

 適度に笑えて、適度に涙腺を刺激する。

 さすがは練達。一気に読ませる。

 でも、馬と馬が会話したり、妙にデフォルメされたキャラクタがいたりで、そのあたりはちょっと醒める(むろん著者は意識してやっているわけだが)。

〔評価〕★★★☆☆


 次は『あと少し、もう少し』(瀬尾まいこ・著/新潮文庫)。
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2015年04月30日

フロム・ミー・トゥ・ユー 東京バンドワゴン




・内容(「BOOK」データベースより)
今から30年前、突然、我南人が「この子ぉ、僕の子供なんだぁ」と生まれたての青をつれて帰ってきた − (「紺に交われば青くなる」)。20歳の亜美が旅先の函館で置き引きに遭う。たまたま同じボストンバックを持っていた紺にいきなりの跳び蹴り。それが二人の出逢いだった(「愛の花咲くこともある」)など、「東京バンドワゴン」シリーズの知られざる過去のエピソードが明かされる全11編。


 今作は番外編。というか外伝というか。

 本編より前の、本編では描かれていない、大家族とその周囲のレギュラー・キャラクター達のエピソード。

 こういうの、シリーズのファンとしては嬉しい。

 でも、短編の名手とは呼べないかなぁ・・・。

〔評価〕★★★☆☆


 次は、『一路(上・下)』(浅田次郎・著/中公文庫)。
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2015年04月27日

徳の政治/ダントン派の処刑 小説フランス革命16/17




・「徳の政治」内容(「BOOK」データベースより)
公安委員会に加入したロベスピエールは、共和国フランスを幸福に導くには徳が必要であり、徳を実行するためには恐怖が不可欠であるとして、いっそう強力に恐怖政治を推し進めていた。一方、激しい政争の末、劣勢に追い込まれたエベール派は、公安委員会を倒すべく蜂起を企てるが、あえなく失敗。行く手には革命広場の断頭台が―。革命は理想郷を実現できるのか。苛烈さを増す、第16巻。第68回毎日出版文化賞特別賞受賞。

・「ダントン派の処刑」内容(「BOOK」データベースより)
ジャコバン派の独裁を完成させるべく、エベール派を処刑したロベスピエールは、革命当初からの盟友・デムーランやダントンらをも断頭台へ送ろうとする。デムーランの妻リュシルは、逮捕された夫を救おうとロベスピエールに哀訴するが、彼の口から思いもかけない激しい言葉が吐き出され―。共に理想を追い闘ってきた男たちの道は、どこで分かたれてしまったのか。非情なる別れ、慟哭の第17巻。第68回毎日出版文化賞特別賞受賞。


 「徳、それなにしでは恐怖は有害です。恐怖、それなしでは徳は無力です。恐怖というのは、迅速かつ厳格、そして臨機応変な正義にほかなりません」

 ロベスピエールが語る、「恐怖政治」の要諦である。

 それなりに納得できないでもない。

 少なくとも、ただただ人々を弾圧することが目的ではない。

 だが、結果的には同じようなものだから、間違っていたのだろう。ただし、後出しでそう言うのは簡単である。

 ジロンド派を排除し、庶民に人気の高かったエベール派(左派)を処刑し、若い頃から革命を共にした親友であったダントンとデムーランのダントン派(右派)までも処刑し、愛する人さえも断頭台に送りながら、実質的に国の首班となる。

 てっきり、ロベスピエールは権力という魔物に憑りつかれ、嬉々として独裁者に上り詰めたのかと思っていたら、実に人間臭く惑い、悩みながら、それでも良かれと思い進んでいくのだった。

 ダントンが最後まで案じていたように、私もロベスピエールを憐れみながら読んだ。時代の必然だったといえば陳腐だが、個人ではどうにもできない歴史のうねりというものは確かにあるのだろう。

 どんなに崇高な思いがあっても、できればそんなものには巻き込まれたくない。

 全18巻、まもなく終焉。

〔評価〕★★★★☆


 次は、『フロム・ミー・トゥー・ユー 東京バンドワゴン』(小路幸也・著/集英社文庫)。
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2015年04月14日

石の繭/蟻の階段/水晶の鼓動 警視庁殺人分析班




・石の繭 内容(「BOOK」データベースより)
モルタルで石像のごとく固められた変死体が発見された。翌朝、愛宕署特捜本部に入った犯人からの電話。なぜか交渉相手に選ばれたのは、新人刑事の如月塔子だった。自らヒントを提示しながら頭脳戦を仕掛ける知能犯。そして警察を愚弄するかのように第二の事件が − 緻密な推理と捜査の迫力が光る傑作警察小説。

・蟻の階段 内容(「BOOK」データベースより)
頭蓋骨に白い花、掛け時計にスープ皿 − テーブルの上の惨殺遺体を囲むように置かれた謎めいた品々。絵画を模したような現場を作り、さらに「過去の亡霊」を名乗って警察OBの自宅に電話をかけてきた犯人。自らの存在をアピールしたいのか。如月塔子ら殺人分析班が鋭い推理で明かす、歪んだホシの正体とは。

・水晶の鼓動 内容(「BOOK」データベースより)
殺人現場は、スプレー塗料で赤く染められた寝室だった。如月塔子が猟奇的な事件の遺留品捜査を始めた矢先、東京各所で連続爆破事件が起きる。多くの捜査人員がテロ対策に割かれ、殺人事件を担当する塔子ら特捜本部は動揺を隠せない。殺人犯はどこまで計画していたのか − まさか。緊迫の骨太捜査ミステリ!


 麻見和史氏、初読み。鮎川哲也賞作家による「本格ミステリ+警察小説」シリーズ。現在、単行本で6作、文庫で3冊刊行されているが、文庫版を一気読みした。

 なぜか単行本では「殺人分析班」シリーズではなく、「警視庁捜査一課十一係」シリーズという通しタイトルである。

 主人公は新人女性刑事だが、スーパーヒロインではないところが良い。

 シリーズが進むうちに、自称・殺人分析班、正式名称・捜査一課第十一係の先輩達や、その上司や幹部達のいろんな顔を見えてくる展開も良い。

 魅力的な殺人現場も良い。

 警察小説といえば、組織と個人の相克を描くものが多いが、このシリーズでは地道な遺留品捜査や聞き込みと推理によって、特異な殺人現場に残された謎を解き、歪んだ哲学や顕示欲を持った犯人にたどり着くところに特徴がある。

 まあ、個人的には、もう少し本格ミステリ寄りでも良いとも思うのだが・・・。

 1作目は途中でコイツが犯人かな・・・と分かってしまったが(ということは多くの読者がそうだろう)、その後の展開には虚を衝かれた。

 派手さはないが、なかなかいいシリーズ。良い意味でTVドラマ向きの作品だと思う。

〔評価〕★★★★☆


 次は、『徳の政治 小説フランス革命16』(佐藤賢一・著/集英社文庫)。
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2015年04月08日

スカル・ブレーカ The Skull Breaker




・内容(「BOOK」データベースより)
生きるとは負け続けること、死ぬとはもう負けぬこと − 侍同士の真剣勝負に出くわし、誤解から城に連行されたゼン。彼を待っていたのは、思いもよらぬ「運命」だった。旅を続けながらさらなる高みを目指す若き剣士は、ついに師、そして自らの過去に迫る。


 唯一無二の思索する剣豪小説第3弾。

 都に向かう旅の途中、ちょっとした誤解から、城に囚われ、その後は一転賓客のように扱われるゼン。

 世に聞こえたスズカ流の後継者と目されたからこそだが、そのゼンさえも全くかなわない老年の剣客が現れる。アクション・シーンもかっこいい。

 その、山に籠る前のズズカ・カシュウと師弟関係にあったタガミ、そして、一見うだつのあがらない老侍ヤナギ。これらのキャラクタが実に興味深い。

 さらに、今作ではズバリ、本人も知らなかったゼンの素性が、明らかに。とはいえ、浮世と離れてカシュウと2人だけで山にいたゼンには、何やらピンと来ていない様子。

 何となくそうかなぁ〜と思っていたが(きっと他の読者も皆さん、感じていただろうが)、やはりこういうことやったんやなぁ。

 出生の秘密が明らかになったことが、今後ストーリーにどう絡んでくるのか。

 元々は3作、その後は5作の構想だったらしいが、もう少し長くなるらしい。このシリーズは結末はもちろん、あらすじも決めずに書いているというから、驚異だ。

 しかも、森氏は超速筆で、1時間にキーボードで6,000字、1日2〜3時間の執筆、2〜3週間で1作を仕上げるそうだ。

 凄い。

 今度はS&Mシリーズがアニメになるそうだ。不安。

〔評価〕★★★★★


 次は、『石の繭 警視庁殺人分析班』(麻見和史・著/講談社文庫)。
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2015年04月02日

音楽の進化史




・内容(「BOOK」データベースより)
音楽はなぜ誕生し、どのようにより豊かで多様なものへと変化したのか?楽器や楽譜、音階や和音の発明など、作曲家である著者が、旧石器時代から現代に至る4万年の音楽史を一望する決定版!


 久しぶりに小説以外の本。

 48歳を目前に趣味のギター弾きを復活させてから、いったい誰が和音(コード)を発明したのか、気になっていた。

 アコースティック・ギターというのは、本当に不思議で偉大な楽器である。ただコード(和音)をボローンと弾いて歌うだけでも、ある程度様になる。そんな楽器は他にない。

 コードの発明者は、ピタゴラス・・・という説もあるらしい。

 この本を読んでも、誰が発明したのか、最初に音を重ねことを思いついた人物は、特定されていないかった。

 とにかく、1200〜1350年には、複数の音を重ねて使うことは行われていた。1400年には、イギリスの作曲家ジョン・ダンスタブルが、オクターブ(1度・8度)、完全4度、完全5度の組み合わせを発見。後に、3度の組み合わせと三和音も発見され、和音進行の概念も生まれる。

 15世紀には、フランスのジョスカン・デ・プレが調(キー)とカデンツ(曲の終わりを予感させる和音進行)を導入。

 17世紀には、ルート音(根音)の移動が導入される。有名な例は、パッヘルベルのカノン進行。日本のヒット曲のほとんどに使われているということで、マキタスポーツがネタにしていたアレである。

 しかし、決まったパターンを好むのは、何もJ-popだけの話ではない。

 17〜18世紀のクラシック音楽でも、パッサカリア(例えばI-IV-V-I)など特定のコード進行が好んで使われたらしい。また、五度圏と呼ばれるコード進行も多用され、1人で何千回も使用する作曲家もいたとのことである。

 18世紀後半には、スリーコードでの作曲が流行(ロックはまだ誕生していない。クラシックの話である)。

 19世紀には、土着の民俗音楽からのメロディー拝借も盛んだった。

 つまり、ワンパターンとか、パクリというものは、西洋クラシック音楽の歴史の中でも、普通に、当たり前に行われてきたことであり、恥ずかしいことでもなんでもないことだったのだ。

 自作メロディーの使いまわしも普通のことだったらしい。

 ちなみに、この本には書いていないが、アメリカの初期のフォークソングでは、黒人霊歌からのメロディー借用が堂々と行われていたらしい(“悪いこと”とはされてない)。

 この本の大部分は、西洋クラシック音楽に関する話だが、そこから派生してきたジャズやロックロールにも触れている。クラシックとジャズ、ロック、ポップスは親戚関係なのである。

 コードをかき鳴らすだけのバッキング用楽器だったエレキギターで初めてメロディーを弾き、チョーキングを発明し、リード楽器にしたのは、1939年のチャーリー・クリスチャンという人の演奏だと、この本で初めて知った(Wikiによると、ベニー・グッドマン楽団のジャズ・ギタリストで、ジャズ・ギターの開祖と言われる)。

 現役の音楽である著者は、東洋音楽にも敬意を払い、西洋音楽の優位性を主張しているわけではない。音楽は世界で同時発生的に起こり、進化し、相互に影響を与えていたのだろう。

 音楽をやっている人(と言っても、私は素人に毛が生えた程度)なら、クラシックに詳しくない人(私だ)でも、楽しめる1冊だと思う。高いけど。

〔評価〕★★★★☆


 次は、『スカル・ブレーカ』(森博嗣・著/中公文庫)。
posted by ふくちゃん at 20:36| Comment(0) | TrackBack(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月29日

夜の国のクーパー




・内容(「BOOK」データベースより)
目を覚ますと見覚えのない土地の草叢で、蔓で縛られ、身動きが取れなくなっていた。仰向けの胸には灰色の猫が座っていて、「ちょっと話を聞いてほしいんだけど」と声を出すものだから、驚きが頭を突き抜けた。「僕の住む国では、ばたばたといろんなことが起きた。戦争が終わったんだ」猫は摩訶不思議な物語を語り始める − これは猫と戦争、そして世界の秘密についてのおはなし。


 いつもどこか不可思議なムード漂う伊坂作品。

 今作は完全にファンタジーと言っても良いと思う。なにせ猫が擬人法によってではなく、普通に“私”と会話し(当然ながら当初の“私”は驚き戸惑う)、猫は鼠と会話するのだから(それだけがこの作品をファンタジーと呼ぶ理由ではないが、ネタバレになるので秘す)。

 一方で、ミステリ同様に(でもミステリとは違うタイプの)鮮やかな伏線とその回収がある。


 猫と鼠の関係性は、猫の“僕”の住む国と侵略してきた鉄国との関係性との相似性を示すことに途中で気付いた。私が気付くぐらいだから、他の読者もきっと気付く。

 しかし、物語は「分かった!」と思った私の想像・予想の遥か上を行く。


 序盤から軽く違和感を覚える箇所がいくつもあるのだが、あまりに些細なことなので、見過ごしつつ先へ先へと読み進む。

 まさかこんな話だったとは・・・とあっけに取られて、違和感を覚えた箇所を再確認。

 すがすがしいほど、見事にやられた。


 怖い物語でもある。

 戦争というもの。

 人が権力者に支配されること。

 それがどういうことか。

 外に敵を作って、団結を促して支配する。

 いろんな国の権力者がやっていることそのままである。


〔評価〕★★★★☆


 次は『音楽の進化史』(ハワード・グッドール著/夏目大・訳/河出書房新社)
posted by ふくちゃん at 12:31| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジー・幻想文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月28日

舟を編む




・内容(「BOOK」データベースより)
出版社の営業部員・馬締光也は、言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に引き抜かれた。新しい辞書『大渡海』の完成に向け、彼と編集部の面々の長い長い旅が始まる。定年間近のベテラン編集者。日本語研究に人生を捧げる老学者。辞書作りに情熱を持ち始める同僚たち。そして馬締がついに出会った運命の女性。不器用な人々の思いが胸を打つ本屋大賞受賞作!


 広大な言葉の海を渡る舟・・・1冊の辞書を作るのに、どれほどの労力と長い時間が必要とされるか。映画でも感じたが、原作を読んで改めて感じ入った。

 紙の辞書に敬意を払いたくなる。

 どこか不器用だが、思いを込めて静かに地道に仕事を積み重ねる人たち(一見チャラい西岡でさえそうである)。

 その姿にうるうる。

 真面目で誠実すぎるがゆえの馬締のトボけた言動には、思わず電車の中で吹き出しそうになり、必死にこらえる(笑)。

 いいお仕事小説だ。

〔評価〕★★★★★

 次は、『夜の国のクーパー』(伊坂幸太郎・著/創元推理文庫)。
posted by ふくちゃん at 14:09| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月23日

体育館の殺人




・内容(「BOOK」データベースより)
風ヶ丘高校の旧体育館で、放課後、放送部の少年が刺殺された。密室状態の体育館にいた唯一の人物、女子卓球部部長の犯行だと警察は決めてかかる。卓球部員・柚乃は、部長を救うために、学内一の天才と呼ばれている裏染天馬に真相の解明を頼んだ。アニメオタクの駄目人間に−。“平成のエラリー・クイーン”が、大幅改稿で読者に贈る、第22回鮎川哲也賞受賞作。待望の文庫化。


 平成のエラリー・クイーンか。

 エラリー・クイーン。もちろん、名前は知っているが、読んだことはない。このあたりがエセ・ミステリ・マニアの所以である。

 しかし、たまたま僕が読んでいるミステリが偏っているせいかもしれないが、ここまでロジックな謎解きにこだわるミステリって、最近は少ないんじゃないか?

 そういう意味では新鮮だったし、楽しめた。

 すべてが解決・・・と思ったら、やや後味の良くないさらなる結末が用意されていて、そこが良い。

 5分単位でのアリバイの確認に、そこまで自分の行動を覚えているなんてあり得ないと思う向きもあろうが、ここは現実の世界ではなく、厳密な論理が支配するフィクションの世界。それを受け入れねばなるまい(笑)。

 それよりも若手刑事が、自分の妹のいる高校に捜査に行くことを、なぜそんなに嫌がるのか理解できない(笑)。

 そして優秀な上司警部が、推理で高校生に負けるなんて、理解できない・・・と言ったら、名探偵のお話は成り立たないので、無視。

 既に続編が単行本で2冊。文庫化が楽しみだ。

〔評価〕★★★★☆


 次は『舟を編む』(三浦しをん・著/光文社文庫)。
posted by ふくちゃん at 21:09| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月20日

夜の床屋




・内容(「BOOK」データベースより)
慣れない山道に迷い、無人駅での一泊を余儀なくされた大学生の佐倉と高瀬。だが深夜、高瀬は駅前の理髪店に明かりがともっていることに気がつく。好奇心に駆られた高瀬が、佐倉の制止も聞かず店の扉を開けると…。第4回ミステリーズ!新人賞受賞作の「夜の床屋」をはじめ、奇妙な事件に予想外の結末が待ち受ける全7編を収録。新鋭による不可思議でチャーミングな連作短篇集。


 表題作にして最初の一篇「夜の床屋」(第4回ミステリーズ!新人賞)を読んだ時点では、日常の謎系の作品集かな、と思う。

 しかし、次の「空飛ぶ絨毯」では、死人が出る。消失した絨毯の謎解きは鮮やかだが、結末は論理的に納得できない。何度も何か伏線を読み漏らしたのか確認したが、それは無かったと思う。違和感が残る。

 だが、この違和感さえも、一種の伏線だと最後に気付かされる。

 「ドッペルゲンカーを捜しにいこう」を挟んで、「葡萄荘のミラージュ1」「葡萄荘のミラージュ2」「『眠り姫』を売る男」(第3回ミステリーズ!新人賞最終候補)「エピローグ」と続くのだが、ここが作品集は1つの物語として、意外な結末を迎えるのだが・・・。

 しかし、これではミステリでなく、ファンタジーか、怪奇譚である。僕はミステリもファンタジーも怪奇譚も好きだが、この結末にやられた!と感嘆するか、ええ〜!とがっくりするか、反応は分かれるだろう。

 僕の気持ちは後者に近い。

〔評価〕★★★☆☆


 次は『体育館の殺人』(青崎有吾・著/創元推理文庫)。
posted by ふくちゃん at 20:23| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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